夢枕獏公式Blog「酔魚亭」

笑い、なみだ、しあわせ

君と出会えて

夢枕獏「とびすけ由来のこと」が収録された『きみと出会えたから 34人がつづる愛犬との日々』が、11月下旬にPHP文芸文庫より発売されます。
笑い、なみだ、しあわせいっぱいのエッセイ集です。

発行所:PHP研究所
奥付発行日:2015年11月24日
定価:本体660円(税別)
ISBN978-4-569-76455-9

「みんなでバリ島じゃあ」第20回

みんなでバリ島20

 犬は放し飼いです。
「危険じゃないの?」
「安全ですよ」
「どうして?」
「人を噛む犬は、みんなすぐ殺されちゃうから。噛まない犬だけ残ってる」

「初夏です」第1回

初夏です1-1

 我が家の台所のベランダの上に、土バトが巣をつくり、子供が生まれました。
二羽ですが、だいぶ大きくなっています。


初夏です1-2

 家で飼っている犬のワイクーです。


初夏です1-3

 ハナミズキがきれいです。


 夢枕獏写真日記「初夏です」は、2008年8月に会員制HP蓬莱宮に掲載されたものを、ブログ用に再編集したものです。
 最新の夢枕獏写真日記は蓬莱宮でご覧下さい。

うちに住んでる犬の好きなもの

うちには犬が住んでいます。変わった犬です。
「今日、一度もうちの犬に会ってません」って、あの孤ペン波舷氏とうちに遊びに来た池長一美氏に言ったら、「それも凄いことだ」とずばり言われました。
「はい、そうなんです。うちの犬とはそういう付き合いです」

これって何でしょう。
犬とこんなつき合い方をしている方っていますでしょうか。


09_12_11-1

インゲボルグとコペンハーゲンの港。



うちの犬、女の子(もう婆さんです)なのに「ワイクー」という変わった名前。もうかれこれ18年くらいになります、付き合い始めて。
実は拾って来ました。と言ったら、皆に、無理矢理連れてきたんだろ、と言われます。はい、そうですね。道路で車に轢かれそうになっていた迷子の彼女を保護して連れて来ました。だからやはり無理矢理かもしれませんですな。
その時、うちにはもうすでに犬が住んでいて、もう一匹保護してうちに置いておくのもぜんぜん平気なことでしたので、なんとなく成り行きで連れてきてしまい、そのまま18年間一緒にいるという感じです。
ちょうど私がタイから帰って来たばかりだったので、名前もタイのムエタイからとって、「ワイクー」と言う名前をつけてしまいました。皆に言われます。「名前も変だしな」って。
彼女の変人(犬)ぶり、何だかものすごく私に責任がありますね。

その、前から住んでいた犬は、犬らしい犬でした。名前はトビスケ。親しくしているカヌーイストのN提督の名に少し似せてつけた由緒ある名前の犬でした。トビスケは皆にそれはそれは可愛がられ、遊んであげるともう夢中になって喜んでくれて、これこそ犬だーって感じでした。
後から連れて来たワイクーは、その犬らしい犬正統派雑種犬トビスケに圧倒されたのか、それともそれが彼女なりに不愉快だったのか、ぜんぜん知らんぷり、私たちを完全無視。無理矢理遊ぶとものすごく怒ったり、泣いたり。なんだか意味不明の犬。そのうち皆が相手にしなくなり、そのまま「変わった犬」に。
そんな犬っているんですかね。
だからずっと、私、ワイクーとは程よい距離のおつき合いをしてきました。

彼女の嫌がることは極力避けて、獣医さんにもあまり連れて行かないようにして、お風呂も昔は娘が入れていましたが、この頃はほとんど何もしていません。でも近所の人から「あの家には四つ足のゾンビがいるずら」と言われないようにブラッシングだけはしっかりしてあげています。雑種なので、強いです。一度病院の血液検査で「肝機能が弱っています」と診断されましたが、そんなこと彼女は全然気にしていません(あたりまえですか?)病気もしません。
でももう19歳近く。さすがにここにきていろいろガタがきてます。目もよく見えないようです。
それにあまり喜ばなくなりました。昔は何かの拍子に、そう、うちに来る洗濯屋の若いお兄さんのことが大好きで、気でもおかしくなったのかというくらい狂おしく鳴いて喜んだりしていましたが、それもめっきりなくなって、ただぼーっと老後を過ごしています。

先日、私がコペンハーゲンに行っている時は娘二号に世話を頼んでいたのですが、その娘からコペンハーゲンにいる私にメールが。何だと思ったら。
「今朝、ワイクーが溝にハマって動けなくなっていたので、助けてあげたから」と。
大笑いでした。愛しのワイクー婆さん。
そうなんです、もう足腰もうまく立たず、本当に婆さんになりました。
いつ死んでもおかしくないくらいです。今年の夏も危ないんじゃないかということが何度もありました。でも、不思議と持ち直して元気をとりもどして、なんとか冬を迎えることができました。
ふらふらと歩いて居心地のいい場所をみつけてまどろんでいます。

時々、うちの猫がちょっかいを出して近づくと、フリーズして動かなくなってしまいます。彼女には猫のちょっかいは迷惑そのものなのだろうけれど、それもなんだか少し楽しそう。猫のちょっかいも彼女のおだやかな射程距離にあるものなんです。



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 これがチョッカイを出す、どうしようもない猫です。



うちの犬の好きなもの、自由。
多分。自由に生きて来て、好きなように死んで行くのだと思います。
うちに来た時からそういうおつき合いをして、もう18年。なんだかんだと、時にはなぐさめてもらったり。そういう犬なんですが、そこにいるだけでとても助けられてきました。



今日はジャズと全然、全く関係ない話ですみません。
無理矢理ジャズで終わらせようかしらんとも思いましたが、なぜか、最後にポール・マッカートニーの曲が・・・
うちの庭を一人よたよた歩くワイクーを見ていると、なぜかこの曲が聴こえて来るのです。
Silly Love Songsという昔の曲。
Sillyなんですが、この曲の歌詞、I LOVE YOU, I LOVE YOU・・・と繰り返す、この感じの愛をうちの婆さん犬、ワイクーに。


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 これがその話題のワイクー!




プロフィール

夢枕 獏

作家、1951年1月1日、神奈川県生まれ。 東海大学文学部日本文学科卒。
1977年に作家デビュー。 以後、『キマイラ』『サイコダイバー』『闇狩り師』『餓狼伝』『大帝の剣』『陰陽師』などのシリーズ作品を発表。 1989年『上弦の月を喰べる獅子』で日本SF大賞、1998年『神々の山嶺』で柴田錬三郎賞を受賞。2011年『大江戸釣客伝』で泉鏡花文学賞と舟橋聖一文学賞を受賞。同作で2012年に吉川英治文学賞を受賞。
漫画化された作品では、『陰陽師』(漫画 岡野玲子)が第5回手塚治虫文化賞、『神々の山嶺』(漫画 谷口ジロー)が2001年文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞をそれぞれ受賞。 映画化された作品に『陰陽師』『陰陽師2』(東宝)、『大帝の剣』(東映)などがある。

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