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 紅葉に菊の葉、それに白兎。


今日はものすごく幸せな日です。
獏先生が、両口屋是清さんのお菓子をお土産にお帰りになりました。

やったー!
その店でしか手に入らないお菓子は最高のお土産です。
今はネットでもお菓子の買える本当に便利な世の中になりましたが、生菓子はやはり地域限定もの。
丁寧にグレイの紙箱にならべられた生菓子は、季節に添える飾り物のようで、食べてしまうのは本当にもったいない。
ですが、いただきますっ、もちろん。
という訳で、いつもより何倍もお茶を丁寧に入れて何倍も時間をかけてお菓子をいただきました。(おまけに写真まで写して!)
ここの生菓子はとても優しい甘さです。ううう、このままだとどんどん食べられそう。

11月1日〜11月15日まで店頭に並ぶ季節の生菓子だそうです。
旬の、本当に短い季節を写し出すお菓子。

両口屋是清さんの方とお話してきた獏先生によると、和菓子の世界は季節をさりげなく写しだすところに奥ゆかしさもあるのだとか。
季節をズバリ表すだけでなく、その中にストーリーも写し出すのですね。
例えば、庭の鈴虫を表すにしても、そのまま鈴虫を焼いて表すなどということはせずに、なんと胡麻の一粒で表したりするのだそうです。
(ああ、何も知らずにぱくぱく食べていた私は一体なんだったのでしょう。これはまぎれもない「猫に小判」だ)
そういうわけで私のお菓子の知識もこの度のありがたいお土産のおかげで、秋と共にグンと深まりました。

色とりどりに染めたきんとんで錦の野山を表した錦秋。
こなし(餡と粉に蜜を加えて混ぜたもの)を三色に染め分け、かえでの木形で押した唐錦。
わらび餅で餡を包んだ小牡鹿。

いただいたお菓子の中で、私の一番のお薦めは「小牡鹿」。
デザインがシンプルで美しい。
それだけでなく、味もとてもシンプル、それなのに多彩。音楽でいえば、控えめに奏でられていく静かなジャズの楽曲のよう。
シンプルで控えめなお菓子なので、葉を少し敷物に添えてあげるとますます美しい。
庭に降りて、菊の葉を摘んできてお菓子に添えました。

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 シンプルな美しさの、これが小牡鹿。


なーんって蘊蓄語るより、まずお礼。
本当に美味しいお土産をありがとうございました!
またぜひよろしくお願いします。

あまり甘いと、多くの個数を食べられないので、個数、種類をたくさんクリアできる甘くないお菓子、カムカムウェルカム、大歓迎です。
本当に欲張りな私・・・。失礼しました。

奥山に紅葉踏みわけ鳴く鹿の声聴くときぞ秋はかなしき 猿丸太夫

奥方に紅葉菓子やら鹿の菓子土産に持ちて秋はかなしき 猿の腰掛け太夫

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 解読不明、不思議なマークが押されたお菓子。
     実は古田織部の斬新なデザインと色彩を写したお菓子です。