夢枕獏公式Blog「酔魚亭」

ジャズ

Cloudから新譜!

夢枕獏が応援するジャズレーベル「Cloud」から新譜のお知らせです。

 欧州ジャズファンから高い評価を得るデンマークのピアニスト、ピーター・ローゼンダール。
 マッズ・ビンディング、モーテン・ルンドとのトリオ7年ぶりとなる新作がついにCloudからリリース。

クレセント

ピーター・ローゼンダール・トリオ『クレセント』
2011年10月5日 発売
DDCJ-4004

ピーター・ローゼンダール(piano) / マッズ・ビンディング(bass) / モーテン・ルンド(drums)

<収録曲>
1, Crescent          < 5:35> Peter Rosendal
2, Humming Me        <4:04> Peter Rosendal
3, New Linen         <5:57> Peter Rosendal
4, Piranha           < 1:27> Peter Rosendal
5, The Water Is Wide      <5:28> British trad
6, Belo Horizonte        <4:13> Peter Rosendal
7, Tunge Mテクrke Natteskyer < 3:50> Carl Nielsen
8, Pulp Friction         <3:22> Peter Rosendal
9, Silvery You          <3:27> Peter Rosendal
10, Tactile Blue        <5:18> Peter Rosendal
11, Like Someone In Love   <4:36> Jimmy Van Heusen

税込み価格¥2,940(税抜価格¥2,800)
発売/Cloud 販売/バウンディ

美しいピアノソロで始まる表題作「crescent」、自らがフルーガボーンを重ねた「humming me」など7曲をローゼンダールが新たに書き下ろし。
ジャズ、クラッシック、民族音楽まで吸収したローゼンダールと名ベーシスト・ビンディングとドラマー・ルンドとの三者のインタープレイも素晴らしい。

2011年4月コペンハーゲンSTCスタジオにてビャーネ・ハンセン録音。

「日々日常2009年夏」第三回

日々 日常 2009-3

 あいまをぬって、ひたすら原稿の日々であります。

「日々日常2009年夏」第二回

日々 日常2009-02-1

 横浜のジャズ酒場で、演奏です。

日々 日常2009-02-2

 ピアノが、マグナス25歳、ベースがペーター25歳、
ドラムが池永一美。

キッチンでジャズを聴きながら料理すれば

キッチンという空間、素晴らしい空間です。
料理という創造物が毎日生み出される空間。
私はキッチンにいるのが大好きです。
お湯を湧かしたり、お米を研いだり、下ごしらえをするのもなぜか楽しい。
そして匂いの立つ頃には皆が集まってくる。


09_12_15-1

 キッチンに飾った花。目の前に置く。きれいですから。


昔、ロンドンに住んでいた頃、バーミンガムという街にある友人の家を訪ねたことがあります。
ロンドンから高速を車で2時間あまり北上。バーミンガムの小さな森を見ながらお昼をごちそうになりました。
料理が出来上がって、運ぶのをお手伝いするために初めて入った彼女のキッチンを見て驚きました。余計なものがすべて何もなくきちんと片付けられていました。彼女はオーブンで料理を暖めている間、同時にお片づけしていたのですね。
キッチンのカウンターの上は見事に何もなく片付けられていました。その手際の良さ!
「いつもこうなの!?」驚く私。
にこにことうなづく彼女。
感激しました。こんなキッチンってあり得るんだ・・・
もちろん彼女の作るお料理は隙なく美味しい料理。オーブンで焼いた香り高いキチンとしたチキンピラフ。
ううーむ、今でもあの感激のすべてがありありと思い出されます。

日本に帰って来てから、もちろん私も努力してみました。
マイラブリーキッチンのキチンとしたお片づけ。
でもやはり当然ながら性格が反映されるのもキッチンです。

花も飾りたいし、音楽も聴きたいし、本も読みたいしなー。
調味料だって飾っておきたい。それにニンニクもつるしておきたいしなー。炊飯器は当然出したままが便利だし。コーヒーだっていつでも飲めるように・・・冷蔵庫にはマグネットでペタペタ資料を・・
そうだっ、ニュージーランドで買った魚のアイアンベルも飾ろう!
料理はイタリアン、中華、タイフードでしょ、それに何と言っても日本人だもんね。すりこぎ、すり鉢、魚焼き網、土鍋、ワサビおろすための鮫肌もイルイル・・・
などと道具を積み重ねていったら、あっという間に空間が埋まってしまいました。
私のキッチンはまさに仕事場兼居間兼書斎兼物置兼・・・。


09_12_15-2

 これは唐辛子。一束198円で売られていたもの。飾ってみる。


子育ても終わり、酸いも甘いも味わって人生がよりいっそうの深みをもつ頃。
その深い吟醸の宵の迎え方。
料理好きな友人の居心地のいいキッチンを訪れ、一緒にお酒を飲みながらあれやこれやと話しながら料理を作るという宵の迎え方、いいですね。
ゲストの私はほとんど座ったままでおしゃべりを聞いてあげて見守るだけです。
いくつになってもこういう関係を持てる友人がほしい。キッチンでしゃべりながら、軽くお酒を飲みながらディナーの準備をする、こういう老後が最高。
これほどの楽しい暖かな幸せはないです。

でも、もっぱら私の家での台所作業はいつも一人。
同居人が美味しい食事のできるのを唯一の楽しみにひたすら待っていますので。
それなりに真面目に楽しく作っています。そういう訳で、一人で作る時は、いつもジャズを聴きながら。
この頃は土鍋で炊くご飯に凝っていて、何かあればすぐ土鍋ご飯に。
吹きこぼれしない、ご飯を炊くのに究極の土鍋のおかげです。
冬の牡蛎を乗せた土鍋ご飯も最高です。たっぷりと舞茸と生姜を入れて、最後にご飯を蒸らす段階で生牡蛎を乗せるだけ。
それと、具をたくさん入れたあつあつの豚汁。これにも葱と生姜をたっぷり入れて。
出来上がるまで、チーズとワインです。それから白菜のお漬け物。
本当に楽しい冬の宵。

こんなに美味しいご飯は日本中探してもない、と自画自賛しながら。
いつもの調子です。
冷えた頭に美味しいワインが入ってしまいましたので、何でも楽しく美味しくなってしまうのでした。


ああ、忘れていましたっ。
ジャズです。ジャズ。
台所で聴くジャズはなんでもあり。楽しければなんでもOKです。
でもあえて私の大好きなドラマー、ビリー・ヒギンズのリーダーアルバムの「THE SOLDIER」の中の Sugar and Spiceを。これはこの曲で軽快にサックスを吹いているモンティ・ウォーターズの曲だそうです。
ボーカルのロバータ・デイビスの少しハスキーなマシュマロのような声とシダー・ウォルトンのピアノが踊っています。
でも私には何と言ってもビリー・ヒギンズのスネアの気持ちよさ。間に彼のスネアを刻む音が入るだけで、程よくソルティーでスパイシーな一皿になります。私はシダー・ウォルトンとビリー・ヒギンズの組み合わせ、大好きです。


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 またまた登場、コペンハーゲンのキッチンに立つ孤ペン波舷氏
    孤ペン波舷氏がマグナス・ヨルトと私のために料理を作ってくれました! 

宮崎で落語を聞く

宮崎で落語を聞いてきました。
お天気のいい秋の連休の2日間。宮崎市内の4会場で落語漬けです。
私は3つの会のみでしたが、聞いてきました。宮崎での怒濤の落語に、今でも頭の中が落語で一杯です。
春風亭昇太、三遊亭歌之介、林家たい平、柳家喬太郎、林家正蔵、柳亭市馬、立川談春、三遊亭白鳥、三遊亭小遊三、三遊亭楽太郎、、
すごいでしょう?このすごい面々の落語を2日間で目一杯聞いて来ました。


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 落語会の行われていた会場の前のバス停、
       懐かしいなつかしい宮崎交通のバス停。


落語の間を縫って、車で南の方へ探検にも出掛けて来ました。
素晴らしい川と海と山。10月の穏やかなお天気の海辺は連休だというのに人も少なくのんびりするには最高です。
特に清武川の河口。
お天気のいい河口の広々とした空間がいいのです。川沿いにもゆっくり歩いて来ました。
この河口の何がいいのか分かりませんが、何か時間がゆったりと流れていくその感じは河口独特のものかもしれません。
河口ではヒラメも釣れましたし、清武川、いい川には違いありません。
昔、子供の頃、タンポリと呼んでいた大淀川の河口で一日中ボートにゆられての釣りに連れて行ってもらっていたことを思い出しました。本当に幸せなゆったりとした時間がそこにありました。


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 これは青島より車で20分程南に下った富土。
         その富土川の河口、小さな魚の群れ。


私は宮崎で生まれ、育ったので、何がどこにあるのか大体分かっているはずなのに、この何年かの間の道路の開通、新しい街ができていたりで、まるで浦島太郎状態でした。
母の大好きだった白いバラを買ってお墓参りも済ませ、宮崎地鶏も宮崎ラーメンも食べ、宮崎での儀式はすべて済ませて帰って来ました。

ただただ心残りは、ギョロっけの本物に巡り会えなかった事。
ギョロっけって言っても何のことだかわからないでしょう?
ギョロっけって、魚で出来たコロッケだからギョロっけです。薄く魚のすり身が小判型にのばしてあって、それにコロッケのような衣を付けて唐辛子でスパイシーに味付けして揚げたものです。
日南海岸、堀切峠の道の駅でめくり合えて「やったー」と、ベンチに座って食べましたが、ううううーっ味がなんだか違う。
中身が魚のすり身というよりまるで、カマボコのようでした。
そうではないんです。本物は。
本物は鯵とか鰯のすり身だと思います。

可笑しかったのは、噺家の春風亭昇太師匠と空港でそのギョロっけの話をした時、昇太師匠がギョロっけを知っていたこと!
何で、知ってるんですか?昇太さん。
昇太さんは静岡県の清水の出身ですよね。
宮崎の人にもそれほど有名ではないギョロっけなのに。
清水にもあったのでしょうか。

昇太さんの目線って時々びっくりするくらいおかしなところを向いている時があります。それに優しい、それでいて辛辣な目線。
それが彼の落語の本質にもつながっていくのだと思います。
昇太さんの落語。
「春風亭昇太の落語」は誰にもできない彼の落語です。
古典をやっても新作をやっても誰々風ではなく「春風亭昇太の落語」です。これはすごいことです。他の人と比べようもありません。
彼が消化した彼の昇華の形です。
今回、宮崎でもその本随を見せてもらいました。
ううーー、やっぱりすごいな。というのが今回の感想です。

楽しませてもらいました。本当に。
たくさんの噺家、いろいろ聞き応えありました。
宮崎、わざわざ飛んで行って良かったです。



落語も少しジャズと似ています。
落語において古典と言われている噺が、ジャズのスタンダードのようなものです。
林家たい平さんが言っていましたが、彼は300くらいの噺(古典)ができるそうです。
私が今回デンマークから呼んだ26歳のジャズピアニスト、マグナス・ヨルトも300くらいのスタンダードができるそうです。
同じ300でも、噺と曲とはまた違うかもしれませんが。
そんな風に古典、基本を大事にして、とことん覚えこんでいく言わば職人の伝統を大切にする彼らの姿勢は素晴らしいと思うのです。


09_10_16-3

 昇太師匠、獏先生と入った宮崎のバー、
      とても居心地のいいバーでした。
      パティ・ページのLPが置いてありました。
      すかさずテネシーワルツをかけてもらいましたが・・・
      優しい美人の二代目ママと素敵なバーテンダー。


  

愛する誰かに

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彼岸花はよく見ると茎の色と蕾の色がとてもきれいです。
        リリーの一種なんですね。


「あなたには愚痴死が待っています」車谷長吉

このすごい言葉、さすが車谷先生です。一筋縄で行かない人生を歩んでいらっしゃった車谷先生。ある日の朝日新聞の『悩みのるつぼ』よりの抜粋です。
「人の不幸を望んでしまう、心を入れ替えたいのですが」と悩む46歳の主婦からの悩み相談に対する答えの中の一節。
「あなたがこれから先、もしまっとうな人生を歩まれるとしたら、これら人生の不幸(病気、貧困、思想的挫折など)を乗り越えた時だと思われますが、あなたには人生の不幸を乗り越える力がありません。愚痴死が待っているだけです。(中略)あなたの劣等感の原因は自分を認めてくれず、すぐに激高する父親に育てられたせいかなと思われているようですが、人間はみな不完全なのです。この不完全ということを覚悟することが大切です」
ううーむ、このカンフル剤のような、電気ショックのような、心臓マッサージのような回答。
効きます。
悩み相談者の当人にというより、読んでいる私に。
「愚痴死」がどういうものかわかりませんが、これは壮絶な死のような気がして、身悶えしそうなくらいすごい表現です。こんな死に方、死んでもしたくないですね。
死ぬときも愚痴をいいながら死ぬ、ってすごいです。
「あ、ありがとう、でもそれにしても嫌なつまらない人生だったーっ、これはあんたのせいだーっ」て感じですか?
とすると、なんとしても愚痴死だけは避けなくてはなりません。
かっこ悪すぎです。

「ありがとう、ありがとう」そして、ポトッとなって死ぬっていうのが理想ですねん。
何にありがとうかはわかりませんが、死ぬ時くらいは感謝して死にたいです。それが人生最後の言葉として愛する誰かに残していく最高の言葉でしょう。


「愛する誰か」に言葉を残していくのならこんな風に優しく語りたい。
Margareta Bengtson Someone To Watch Over Me


「私を見守る誰か」を求めてせつなく美しく歌うマルガリータ・ベングソンの声を引き立てているのはSwedenのジャズミュージシャンたち。
Piano Ove Lundin
Bass Martin Sjöstedt
Drums Calle Rasmusson

ピアノのオーヴのソロも素晴らしいけれど、静かに入るカッレのサポートも素晴らしい。カッレ・ラスムッセンは、Swedenで活躍中の若いドラマー。


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幾重にも重なる雲と秋の田の色 
     ふたつの季節が切り取ってそこに置いてある風景。



ーーー唐突ですがライブのお知らせですーーー

私のではなく、友人Kが主催するライブです。
Kの一押し女性ジャズシンガー Tsugume. (つぐめ)が大阪から関東にやってきます。Tsugume.は2008年夏に森田葉月の名からTsugume.(つぐめ)に名を変えフリ−シンガーとしてスタートしました。
ジャズのスタンダードをソウルフルに歌いこなし、大人のしっとりとしたステージで魅了します。
上の文章で紹介した「Someone To Watch Over Me」も歌う予定です。どんな歌い方で聴かせてくれるのでしょう、とても楽しみです。
普段は関西地方を中心に活動しているので、関東にお住まいの方は彼女の歌を生で聴けるいい機会になると思います。バックのミュージシャンも関西から来る素晴らしいメンバーです。
この「海の見えるホール」もとても素敵なホールです。
ステージの向こうに広がる緑の森と海、このホールで聴くお昼間のジャズはなかなか素敵です。このホールのある聖ステパノ学園はエリザベスサンダーホームとして有名な学園です。山の緑もきれいな珍しいホールです。休日の一日、もしお時間のある方は大磯までのジャズの旅、いかがでしょうか。

ーーーーJAZZ COLLE (Vol 3) Tsugume.ライブーーーー

日時 2009年 9月20日(日) 13時30分スタート(12時50分開場)
場所 大磯 海の見えるホール(JR大磯駅すぐ前 聖ステパノ学園内)
チケット料金 前売り4000円 (当日4500円)
問い合わせ先 和伊 0463−61−2906

出演 Tsugume.(Vo)
   横山貴生(Sax)
   井手 厚(Bass)
   石川武司(Pf)
   高野正明(Ds)


09_9_16-3

雨にぬれる秋の庭のアジサイ 
    薄い緑色と濃いバラ色が一つのパレットに混じり合っています。

 

9月に聴くジャズはスローなバラード Bert Seager Learning to Trust in Love

9月に聴くジャズはスローなバラード Bert Seager Learning to Trust in Love

日本の政局がどんどん動いていて各新聞の記事を読むのが楽しくてたまりません。
海外のメディアのも全部この際読んでみたいくらいに面白いです。
デンマークからも今回の日本の選挙についてのメールが来ました。

ですが・・・、肝心の仕事のメールはまだ。
レコーディングに関するデンマークの回答待ちの状態がまだ続いています。
なので、おしん状態の私。
Learning to Trust in Loveを聴いて、待つことの必要性を勉強でもします。
ま、私の場合は、Learning to Trust in Jobですが。



09年9月3日-1

LELABOのTUBEREUSE40の香り。
Cloudのために作ってもらいました。 
トップノートは少し柔らか柑橘系ジャズで始まります。



デンマークのジャズ情報をお送りするはずが、なぜかものすごく私的なブログに。
とりあえずのスローなコンセプトで始めた私の私的ジャズWEBなのでお許しください。
スローなボートという響きの持つ世界をゆっくり行けたらという願いもあります。
もともとそんなにたくさん出来ない能力限定的貧弱人なのです。

先日も横浜に「海とエジプト展」を見に行って来ましたが、覚えたのはカノープスのことだけ。そのカノープスの「デカンの祠堂」のみが頭に入って来ました。
この祠に描かれた文字は暦。1年が360日という当時の暦。1年と1年の間に5日間の祭礼の日があったという。合わせて365日。
あちこちでばらばらに発見された祠堂の構造物。重いものなのにどうして?という謎。キリスト教徒によって破壊されそれから海に沈んだようなのですが、まさか、この祠の断片、漬物石にだれか使っていたわけでもないだろうし。
冗談です。

それよりも何もこの発見に携わった海洋考古学研究所所長フランク・ゴディオ氏。彼は37歳で海洋考古学の世界に。それまで、財政の仕事をしていたという彼。
2000年前の遺物が海底から引き上げられ、それが世界をめぐる。夢のような話です。
彼の情熱と実現の力、素晴らしい夢、その夢に会場の中で私も酔わせてもらいました。

海の下には私たちの知らない世界。
この新しい科学の時代になっても不思議なわかっていないことだらけです。
海は私たち日本人には欠かせないロマンを作る場所です。
私の遠い祖先は黒潮に乗ってやってきたのだと信じています。そんな顔してます、私。


09年9月3日-2

デンマークのミュージアムの中にあった木の船。船の形は美しいです。
手前のフィギュアの右端二人、中腰で一体何をしているのか、怪しすぎます。


デンマークのクロンボー城に、マリタイムミュージアムなるものがありました。
海に関するいろいろなものが展示してありました。
ほとんどが海運国デンマークらしい展示内容でしたが、ひとつ面白いものが・・・
それは子供たちのための空間です。
ハムレットで有名なクロンボー城の中にレゴの部屋があったのです。
退屈した子供のための遊び場スペース。

お城の中の異空間、レゴの部屋。
子供たちが座るテーブルがレゴブロックの収納場所にもなっていて、そのシンプルで機能的なデザイン力に思わず写真を撮りました。さすがデンマークです。


09年9月3日-3

このテーブルです。レゴの国デンマークの子供たちはどんな夢をみるのでしょう。 
    


タイトルにも書いたLearning to Trust in Loveの作曲者バート・シガー氏が10月に来日します。
池長一美と1年ぶりのツアーを行います。どんな曲を演奏してくれるのでしょう。
詳しい日程がわかればこのブログでもアップします。
ボストン在住のジャズピアニスト、バート・シガー氏。
バラードの名手、楽しみです。













仕事の停滞には好きなジャズで思い切り弾けてみる

実は今、デンマークとのジャズの仕事が停滞していて思うようにすすんでいません。
デンマーク人とのやりとりでは時々こういう停滞が起ります。
夏休みモードだと言ってしまえばそれまで。
そうは言っても、そういう訳にもいかずという場所で、足をばたつかせてただただ過ごしています。日本という忙しい国の中にいる日本人の私です。
相手のペースで仕事が思うように運ばないというのはつらいもんです。ほんとに。

で、ですね。ならばと本業の仕事のサポートで取材に行って来ました。

08_25_01

取材で怪しい神社発見。ご神体は「山」です。うやうやしくおごそかに登らせていただきました。


実は、取材は名目で、ドライブしてジャズを思い切り、てなわけではないですが。
行き帰りの車の中は至福のジャズ一色です。助手席で聴かされる相手には迷惑な話だと思います。すみませんでした。
ま、そこは我慢して助手席で寝ててもらって。

08_25-2

ハイウェィから見る夕刻の富士山  高速の入り口を間違えて入ったために大月インターでUターン。その遠回りのお陰で夕刻の富士山に出会えました。

知り合いの北海道のジャズの好きな先生の話ですが、釣りに行く車の中で車のドアが振動でがんがん響くような音でジャズを聴かれるそうです。多分年齢はアラシッだと思いますが。
素晴らしいです!と手をたたいて応援する私です。その若い行為、北海道の誰もいない原野でだから許されるんでしょうね。
私がうちの近くでやったらこれ、もしかして逮捕されるかもです。
こわくてできません。
でも時々、こそっとやってます。
それは夕方の誰もいない箱根ターンパイク。
がんがんジャズドラ最高だす。
ああ、年なのにどこまでも危ない私です。

そうです!
仕事が停滞する時には、やっぱりジャズです。
ううーむ、なんだかんだでジャズしかないですね。

マグナス・ヨルト来日時の「お茶の水ナル」ライブの録音、これはストレス解消に最高の録音盤です。
客席と演奏者が一体になった素晴らしいライブ盤で、共感してくれる人も多いライブ録音です。
聴く度に鳥肌が立って心が震えます。こういう盤が世間に認められるかは二の次、早くリリースしたくてうずうずしています。

が!!「上記(一番上に記したとおり)の理由で停滞しています。
お仕事スパイラルのただ中にいます。
いわゆるデンマークハザードですな。
日本人でデンマーク人と仕事をされている方、皆、この停滞感覚をどうやってやり過ごされているんでしょう。
それとも、ダメで鈍な私だけなんでしょうか。こんな思いをしているのって。
私の仕事のパートナーはデンマーク人。彼らの人柄は大好きで私もよく分かっているつもりなんですが、しばらくこのハザードは続きそうです。
デンマーク人とつき合う方法。デンマーク人に詳しい方、お教えください!

08_25_3

夕方の芦ノ湖。勢揃いしてお家へ帰る白鳥ボートたち。なんだかいい子たちすぎてウルウル。

「Slow Boat to Cloud <限定的JAZZ情報> ご挨拶」 その1

この度めでたく酔魚亭ブログの1カテゴリーページをお借りすることになりました。
自分のブログの準備も始めておりますが、「とりあえずの間借り」をさせていただくことになりました。
でももしかしてずっとこのまま間借りかもしれませんので、ご挨拶です。

挨拶1-1


phpto:我が家の玄関にイギリスからやって来て、20年間、ぶら下がったままのジェレミーフィッシャー


まずこのタイトル名について少し説明を。

Slow Boat to Cloudを直訳すると「雲へ向うゆっくりとした船」です。
Cloud は、私の屋号のようなもので、私が催すジャズライブの制作集団の名前です。
ライブの都度、集まる「Cloud(雲)」のような個別能力集団で、私以外は大変に有能なスタッフの面々で構成されています。
このスタッフの力がなければ、私はただのぼーっとした霧状態だったかもしれません。
「Slow Boat to~」というのはジャズファンにならお馴染みのタイトルです。

そういう訳で「ゆっくりと自分のペースで、ジャズのCloudへ」という意味を込めて。
(決して、「天国へ向うゆっくりとした船」という意味ではありませんので)

挨拶1-2


phpto:Flight to Denmark,  February 2009  デンマークへ行く2月の旅の窓


ジャズが好きです!
ジャズだけでなく、他にも心惹かれる音楽というものはたくさんあります。

POPSも、ROCKも、Beatlesも、フォークも、ラテンも、映画音楽も。
日本の民謡も演歌も時にはいいなあと思って聴きます。
バッハもプッチーニもチャイコフスキーもサティも好きです。
トルコの演歌も好きですし、トルコの軍楽隊の音楽も。
トルコの地中海沿いの小さな街、そのミナレットから流れてくる夕刻のコーランの響き、これにも心が震えます。
それから、心が広がっていくイタリアのカンツォーネ。
バリのガムランも、ケルト音楽も。
沖縄民謡、台湾の少数民族の音楽、雅楽。
20年程前にシルクロードを旅した時に初めて聴いた弦楽器の音。
タイのムエタイの音楽もきれいで心が動きます。
それに楽しいミュージカルも。
小さな子供の歌う讃美歌も。
東大寺の声明も。
歌舞伎のツケも下座音楽も。大好きな落語の出囃子。
それから、いつも床の前で聴かせていただく浄瑠璃語りの大夫さんの声も太棹の音も。
一旦ハマると節操なく、そればかり聴いています。迷惑だといつも言われています。

でも、やっぱり、次第に増えていった私のCDのジャンル、それはジャズでした。
ジャズの何がこんなに夢中にさせるのでしょう。
恥ずかしい程偏ったジャズしか聴いてこなかったので、人に説明できるほどではありません。
ジャズライブに通い続ける時間もお金もなかったので、「人知れず」ただ好きなジャズだけをこっそり楽しんで来たという感じです。

大学時代は軽音にいてピアノを弾いていました。
間借りしていた4畳半の部屋にピアノを置いて、それで毎日毎日弾いて練習していました。(単に下手だったからですが)
月8000円の部屋に13万円で購入したピアノです。
その頃、自然に同じ軽音のピアノ弾きのジャズの友達とも仲良くなり、その時にジャズの凄さを知りました。
とても太刀打ちできないのです。その頭の良さ、感覚、リズム感、技術。
その時からジャズに対して敬意のようなものが芽生えていきました。
凄い音楽です。

挨拶1-3


phpto:Many CDs on my desk at Copenhagen、机に並べられた戦利品

「Slow Boat to Cloud<限定的ジャズ情報> ご挨拶」その2

今回、私がこのブログのスペースをお借りしてジャズの情報を、というきっかけになったのは3人のミュージシャンです。

挨拶2-1



ピアニストMagnus Hjorth,(マグナス・ヨルト)、ベーシストPetter Eldh(ペーター・エルド)、ドラマーKazumi Ikenaga(池長一美)。
この3人によるセッションは、6月25日〜28日にかけて、横浜、東京で行われました。

今年2月にコペンハーゲンにジャズを聴きに出掛けていったのですが、そこの小さなライブハウスで、偶然にマグナスとペーターの演奏を聴き、その音にすっかり引き込まれてしまいました。
正直に言えば、観客はほんの数人だけ。とても地味なライブでした。

でも、私には「素晴らしい」の一言でした。

挨拶2-2


photo:マグナスのデンマークのトリオ。右端にいるのはスノーレ・カーク、彼ももちろんnice!です。


もっと聴きたい!と私に思わせたものは一体なんだったのでしょう。
そしてそれが今回の来日に繋がったのですが、その時に「マグナスに合わせられるドラムスは池長一美」という強い気持ちがありました。池長一美。マグナスの音楽とは多分違う方向性を持つドラマーなのですが、「彼」でした。彼の長年の経験と技術と柔軟さ、その雰囲気。彼のドラムスだったら、マグナスも日本で安心して弾けるに違いない、と。
フタを開けてみないとわからないという、信じられない博打のようなライブ企画です。


挨拶2-3


photo:成田空港到着ロビー、FINNAIRは到着が遅れています。


マグナスとペーターは、コペンハーゲンから飛行機を乗り継いで、日本の一人のファンでしかない私を信用して来てくれました。
不安ももちろんあったと思います。合わせるドラマーは未だ見ぬ相手ですし、日本人ですし。
でも、彼らは来てくれたのです。
そして、3人は日本で素晴らしい演奏をしてくれました。
それも3人ともすごく演奏を楽しんでいました。つい2、3日前までは会ったこともない3人だったのに、この楽しみ方はいったい何なのだっ。

プロフィール

夢枕 獏

作家、1951年1月1日、神奈川県生まれ。 東海大学文学部日本文学科卒。
1977年に作家デビュー。 以後、『キマイラ』『サイコダイバー』『闇狩り師』『餓狼伝』『大帝の剣』『陰陽師』などのシリーズ作品を発表。 1989年『上弦の月を喰べる獅子』で日本SF大賞、1998年『神々の山嶺』で柴田錬三郎賞を受賞。2011年『大江戸釣客伝』で泉鏡花文学賞と舟橋聖一文学賞を受賞。同作で2012年に吉川英治文学賞を受賞。
漫画化された作品では、『陰陽師』(漫画 岡野玲子)が第5回手塚治虫文化賞、『神々の山嶺』(漫画 谷口ジロー)が2001年文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞をそれぞれ受賞。 映画化された作品に『陰陽師』『陰陽師2』(東宝)、『大帝の剣』(東映)などがある。

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