夢枕獏公式Blog「酔魚亭」

2020年05月

文藝春秋 自粛応援

文藝春秋「本の話note」にて5月28日より夢枕 獏『陰陽師』文春文庫 第1話を無料で読めます。
無料で読めるのは一ヶ月間です。文春文庫の人気シリーズを読んでみませんか!

池波正太郎「鬼平犯科帳(一)」・石田衣良「池袋ウェストゲートパーク」・平岩弓枝「御宿かわせみ」・藤沢周平「よろずや平四郎活人剣」・他

「本の話note」
https://note.com/hon_web/n/nb6e5af2a77f4

「がんばれ!格闘技」更新されました。

先ほど、双葉社 日刊大衆 スポーツ「がんばれ!格闘技」夢枕 獏「ああ、幸せなおれ。」が掲載されました。
「がんばれ!格闘技」のバナー/題字・イラストは寺田克也さんによるものです。

https://bit.ly/2Wf0MgZ

集英社「よみタイ」にメッセージ

夢枕 獏のメッセージ【がんばれ格闘技 そして小さな発見「ささやかながら文芸に力あり」】が「よみタイ」に掲載されました。

https://yomitai.jp/?p=42646&post_type=special&preview=1&_ppp=5253fdc8db

「ゆうえんち」連載情報

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週刊少年チャンピオン「ゆうえんち」連載 第97回

爐罎Δ┐鵑銑瓩能銃麈ぶりに再会した叔父と甥。神奈村狂太と葛城無門!二人は闘いの道を選んだ!

原案/板垣恵介 小説/夢枕獏 挿絵/藤田勇利亜
真・格闘小説「ゆうえんち ―バキ外伝―」
連載第97回「巻の十二 2(承前)」

巻頭グラビア 13P! 初登場!BiSH TVドラマ「浦安鉄筋家族」エンディングテーマ担当 楽器を持たないカリスマ パンクバンド!


週刊少年チャンピオン 2020年5月28日号
発行所:秋田書店
特別定価:320円(本体291円)

「ささやかながら文芸に力あり」

がんばれ格闘技 そして小さな発見
「ささやかながら文芸に力あり」
                   
               夢枕獏
1
 コロナと闘っている格闘技を応援したくて、ぼくの『餓狼伝』を出版していただいている双葉社にわがままを言って“がんばれ格闘技”というサイトのようなものを「日刊大衆」というウェブサイト上の“雑誌”の中に、立ちあげていただきました。
 一ヶ月くらいはなんとか続けたいと思っています。
 私の『餓狼伝』の一巻、二巻も、この期間中、無料で読めるようにしていただきました。
 このコロナ騒ぎの渦中、格闘技がどのような状況にあるのか、二日に一回くらいのペースで、新しい記事が無料で読めるようになっております。
 私も原稿を書かせていただくことになっておりますので、興味のある方もない方も、お時間があれば、[website がんばれ!格闘技] におたちより下さい。  
  
2
 このところ、仕事のあいまにほろほろと考えているのは、
「我々のやっている文芸、物語というものには、はたしてどれだけの力があるのだろうか」
 ということです。
 どうなのか。
 途中をすっとばして、結論を申し上げれば、
「ある」 
 ということですね。
 どうしてもある。 
 そう考えざるを得ません。
 それは、ぼく自身が、その文芸の力というか、物語の力というか、言葉の力というものに、これまで何度となく救われてきたからです。
 もちろん、これは、誰にでも効く万能の特効薬のようなものではありません。人によって効いたり効かなかったり。同じ人でも時と場合によっては、やはり効いたり効かなかったり。
 でも、あります。
「ある」
 んです。
 “がんばれ格闘技”のお願いだけをして、これでおしまいというのもなんですから、その“文芸”のことをちょっと書かせて下さい。
 ぼくの場合で言えば、宮沢賢治ですね。
 賢治の作品、その中でも詩ですね。
 ぼくは、ずっと以前から、日本が世界にほこる三大偉人ということで、
 空海、
 宮沢賢治、
 アントニオ猪木、
 この三人の名前をあげてきましたが、そのうちのひとりが宮沢賢治です。
 賢治の詩句を、
 「天鼓(てんこ)の響き」
 と書いた詩人がおりましたが、まったくその通りだと思います。
 自然(じねん)のものは、鳴り響きます。
 風でも手でもいい。
 自然のものを打つと、響き、響いて鳴りわたります。
 心もそうですね。
 賢治という現象を打つ。
 賢治が響く。
 響きわたる。
 心が鳴る。
 それがそのまま「天鼓の響き」になっている。それが、美しい、時におそろしい、肉が魂ごと持っていかれるような言葉になる。
 賢治というのは、楽器のようなものだとぼくは思っています。  
 ぼくは、病気です。
 言葉を書く、物語を書かずにはいられないという病気です。
 毎日物語を書いて、飽きません。
 無人島でも書く、地球で最後の人間になっても書きます。これは、ほんとうのことです。賢治もそうだったんだと思います。
 西行の物語を書いていて、わかったことがあります。
 西行というのは、日本人が桜を愛でる時の、その愛で方の基本的な感性のようなものを、意図せずに、この世に造ってしまった人ですね。平安時代という巨大な桜が、花吹雪となって散ってゆくのを見とどけるために、天がこの地上につかわした人物が西行であると思っています。

 西行──
  ねがはくは花の下(もと)にて春死なむ
  そのきさらぎの望月(もちづき)のころ

 という歌を詠んでいます。
 そして、この歌の通りに亡くなった方ですね。
 その西行のことを物語に書きました。
 十年かかりましたが、そのラスト近くで、西行が、
「もう、自分は歌を作らなくていい」
 と決めるんですね。
 でも、作らぬと決めても現象に出会う────つまり、打たれると西行は響いてしまうんですね。
 響けば、その響きがそのまま歌になっている。
 それが西行です。
 そうなってくると、歌を作る、作らないと自分で決めることが、どれほどおろかなことかわかるわけですね。
 心が響けば、そこに歌ができてしまうのですから。
 それを書きとめるか書きとめないか、それはもうどちらでもいいんですね。
 西行は、そのことに気づく。
 ぼくが、無人島でも書くというのは、そのくらいの意味です。
 作品は、音楽であれ何であれ、人に向けられて発信されるものですが、最後の最後では、それは、自分に向けられたものなんですね。
 それが違うというのなら、神でもいいんです。
 作品は、神への供物です。
 そうでないのなら、それはもう、風や水のように、自然(じねん)のものとして、宇宙にただようものですね。
 そういうものでいいんですね。
 ぼくの場合は、物語です。
 人間というのは、いえ、脳というものは、どうしても物語を作ってしまうようにできている。
 人間の社会というものは、まさしくそういう物語、ファンタジーによって支えられています。
 たとえば、
「実際の物と金銭とを等価交換できる」
 というお金の持っている虚構、物語が、ぼくらの社会を支えているのですね。
 漢字は、一文字ずつが物語、“神話”です。
 ぼくらは間違いなく、今も昔も、神話、物語の中を生きているのだと思っています。
 今回、ぼくに響いた宮沢賢治の詩がふたつありますが、そのうちのひとつを、ここに紹介させて下さい。

 告別 (作品第三八四番)

 おまへのバスの三連音が
 どんなぐあいに鳴つてゐたかを
 おそらくおまへはわかつてゐまい
 その純朴さ希(のぞ)みに充(み)ちたたのしさは
 ほとんどおれを草葉のやうに顫(ふる)はせた
 もしもおまへがそれらの音の特性や
 立派な無数の順列を
 はっきり知って自由にいつでも使へるならば
 おまへは辛(つら)くてそしてかがやく天の仕事もするだらう
 泰西(たいせい)著明の楽人たちが
 幼齢 弦や鍵器(けんき)をとって
 すでに一家をなしたがやうに
 おまへはそのころ
 この国にある皮革の鼓器と
 竹でつくつた管とをとった
 けれどもいまごろちゃうどおまへの年ごろで
 おまへの素質と力をもってゐるものは
 町と村の一万人のなかになら
 おそらく五人はあるだらう
 それらのひとのどの人もまたどのひとも
 五年のあひだにそれを大抵無(な)くすのだ
 生活のためにけづられたり
 自分でそれをなくすのだ
 すべての才や力や材といふものは
 ひとにとどまるものではない
(ひとさへひとにとどまらぬ)
 云はなかつたが
 おれは四月にはもう学校に居ないのだ
 恐らく暗くけはしいみちをあるくだらう
 そのあとでおまへのいまのちからがにぶり
 きれいな音が正しい調子とその明るさを失つて
 ふたたび回復できないならば
 おれはおまへをもう見ない
 なぜならおれは
 すこしぐらゐの仕事ができて
 そいつに腰をかけてるやうな
 そんな多数をいちばんいやにおもふのだ
 もしもおまへが
 よくきいてくれ
 ひとりのやさしい娘をおもふやうになるそのとき
 おまへに無数の影と光の像があらはれる
 おまへはそれを音にするのだ
 みんなが町で暮したり一日あそんでゐるときに
 おまへはひとりであの石原の草を刈る
 そのさびしさでおまへは音をつくるのだ
 多くの侮辱や窮乏のそれらを噛(か)んで歌ふのだ
 もしも楽器がなかったら
 いいかおまへはおれの弟子なのだ
 ちからのかぎり
 そらいっぱいの
 光でできたパイプオルガンを弾(ひ)くがいい

 いやあ、泣けるなあ、これは。
 もう一度、呪文のように、祈るように唱えておきたい。
「文芸に力あり」
               二〇二〇年五月八日

https://bit.ly/2Wf0MgZ

週刊少年チャンピオン「ゆうえんち」連載 第96回

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巻頭グラビア 16P!奇跡の17歳 沢口愛華 華/ふろく 両面BIGポスター

「無門くん、きみ、おれの兄貴を殺したろうーー」格闘猛者が集まる爐罎Δ┐鵑銑瓩悩導した叔父と甥、二人の闘いが始まる!

原案/板垣恵介 小説/夢枕獏 挿絵/藤田勇利亜
真・格闘小説「ゆうえんち ―バキ外伝―」
連載第96回「巻の十二 2」

週刊少年チャンピオン 2020年5月21日号
発行所:秋田書店
特別定価:320円(本体291円)

「がんばれ!格闘技」

夢枕 獏の企画「がんばれ!格闘技」配信スタート

双葉社 日刊大衆 スポーツ「がんばれ!格闘技」準備が整い、
本日(8日)正午に、まず、夢枕の原稿を公開して、スタート致します。
バナーは寺田克也さんによるものです。

https://bit.ly/2Wf0MgZ


5月31日までの期間限定で、Amazon Kindle『餓狼伝1・2』の無料公開も開始しました。

連載第2回!

「瀧夜叉姫 陰陽師絵草子」第2回 KADOKAWA 無料Web漫画サイト「COMIC Hu」にて漫画:伊藤勢 原作:夢枕獏(文春文庫『陰陽師 瀧夜叉姫』より)5月4日から公開中!

https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_MF09201578010000_68/

集英社 よみタイ

夢枕 獏のメッセージ「静かに、しかし強く、なお強くこみあげてくるもの」をたくさんの方に読んでいただきました!

https://yomitai.jp/special/apr-yomimono/5/

双葉文庫 餓狼伝  

夢枕獏の『餓狼伝』(双葉文庫)の1巻と2巻が今なら無料でお読みいただけます。
『新・餓狼伝』の配信もスタートしました。

https://www.amazon.co.jp/dp/B087Q2W6T5/
https://www.amazon.co.jp/dp/B00IM9XMUQ/
プロフィール

夢枕 獏

作家、1951年1月1日、神奈川県生まれ。 東海大学文学部日本文学科卒。
1977年に作家デビュー。 以後、『キマイラ』『サイコダイバー』『闇狩り師』『餓狼伝』『大帝の剣』『陰陽師』などのシリーズ作品を発表。 1989年『上弦の月を喰べる獅子』で日本SF大賞、1998年『神々の山嶺』で柴田錬三郎賞を受賞。2011年『大江戸釣客伝』で泉鏡花文学賞と舟橋聖一文学賞を受賞。同作で2012年に吉川英治文学賞を受賞。
漫画化された作品では、『陰陽師』(漫画 岡野玲子)が第5回手塚治虫文化賞、『神々の山嶺』(漫画 谷口ジロー)が2001年文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞をそれぞれ受賞。 映画化された作品に『陰陽師』『陰陽師2』(東宝)、『大帝の剣』(東映)などがある。

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