夢枕獏公式Blog「酔魚亭」

2010年03月

「韓国鮎ツアー」第6回

韓国鮎ツアー6-1

 翌日は、大鮎をねらいに上流へ。



韓国鮎ツアー6-2

 数はあがりませんでしたが、ワタシは三十四センチを釣りましたよ。

春の霹靂(へきれき)

童子は、まんまるに眼を開き、笑いながら月光の中で、首を傾け、前に倒し、後ろに反らせ、足を鳴らして踊っている。素足で踊りながら、鞨鼓を叩く。
              陰陽師 天鼓ノ巻 「霹靂神」より 


春の季節の気まぐれな突風と、寒さ。
ふりそそそぐ暖かさと、暑さ。
どしゃ降りの雨と、雷。


2010_03_24-1

 春の庭。あっというまに伸びる雑草ばかりですが、
 一番美しい季節です 。


過ぎていきます。
次から次に日本列島にかかる低気圧の前線と、それが運んでくる得体のしれないもの。
低気圧が近づいているとなんとなくわかるのです。
眼に見えない空気の重たさや、気持ちに入り込んで来るどんよりとした流れのようなもの。
私は思わず四つ足で歩きたくなるのです。

今年、そんな低気圧の苦手な私に届けられた獏先生の掌編小説。
それは、一月に出たばかりの新しい陰陽師『天鼓ノ巻』の中の「霹靂神」。
この文章の中で私は新しい登場人物に出会いました。
「右手に木の枝を持ち、左手に鈷杵を握って、楽しそうに足を踏み鳴らしながら」鞨鼓を叩く小さな童子です。
なんて楽しそうな童子なのでしょう。
獏先生の描く、音楽に夢中になるこの童子は素敵です。

雷の後にやって来たかわいい不思議な童子。
雷を伴う不安定な天気に乗ってこの子がもしかしてやってくるのかと思えば、雷も低気圧も平気だっ!というくらいにこの童子が好きになりました。

博雅の吹く笛、蝉丸の弾く琵琶。それからこの童子の叩く鞨鼓。
まるでジャズのようです。
3つの楽器で奏でる音楽は楽しくて愉快。
それは多分、3つの音と心が共鳴し合うからでしょうか。
博雅と蝉丸、それに突然に現れたこの不思議な童子。
三人の心が、月の煌々と輝く静かな宵に出会ってしまったのですね。


晴明の最後の台詞いいですね。
「これほどの楽の音、いつかまた聴けることがあれば、おれも嬉しい」
なんだ、そうか、やはり楽しんだのか、晴明もー。



2010_03_24-2

 楽の音共彫られた美しい仏像。


実は「霹靂神」は、獏先生がジャズという音楽からインスピレーションを得て描いた話です。
と、私は信じていますが、違いますか?先生。
その獏先生お気に入りのジャズライブが今年も行われます。
このライブにデンマークから飛来する二人はまだ26歳という若さ。
デンマーク版「晴明と博雅」のような、仲のいい二人(実は二人はスウェーデン人ですが)。

詳しくはCloudのブログをご覧になってください。
(この右の方に黄金色!のバナーが張ってあります、クリックすれば飛べます)
昨年のそのライブの貴重な音源を凝縮したCD『Someday. Live in Japan』も発売中です。
たくさんの絶賛の言葉をいただき、本当に嬉しい限りです。


この『Someday.』のライブのプレイヤー3人は実は不思議な組み合わせのトリオなのです。
プロデューサーズノーツに書きました。
私はこの3人のことをしゃべりだしたら止まりません。あなたのところまで出張してご説明に上がってもいいくらいです!
獏先生も熱い熱いライナーノーツを寄せてくれました。

3人の奏でる音はいつの世も楽しく。
そして3という数字がそうであるように、もしかして最も調和のとれた美しい音なのかもしれないです。


2010_03_24-3

 三つの渦を原稿そっちのけで
     夢中になってロゴ用にデザインするBデザイナー大先生。



連載情報「闇狩り師 キマイラ天龍変」

 徳間書店『月刊COMICリュウ』2010年5月号
 夢枕獏×伊藤勢「闇狩り師 キマイラ天龍変」が掲載されています。

 乱蔵とキマイラの闘いがクライマックスを迎える!
 危うし乱蔵!
 
コミックリュウ2010年5月号
 
 徳間書店『月刊COMICリュウ』2010年5月号
 発行所:徳間書店
 定価:690円(本体657円)

「韓国鮎ツアー」第5回

韓国鮎ツアー5-1

 I田さんと秋山さんです。この箱の中には、三百尾以上の鮎が.....。



韓国鮎ツアー5-2

 わたしも一枚、撮っていただきました。

音楽を奏でるガラス

2010_03_19-1


春が一歩一歩近づいて、高らかに心に響く桜のファンファーレ。
「桜餅ーっ」
「桜団子だー」
「桜はまだかー!」


いつも見ている青山霊園の桜はまだまだ固い蕾ですが、それでもふっくらとしてきているのはわかります。
今日のような穏やかな日が続けば、花開く日も間近です。
楽しみですね。
桜色の日々。

私的に青山霊園の桜のお薦めスポットはハチの墓に散る桜。
その小さな墓に散る花びらがなぜか優しい。



2010_03_19-2




昨日、私の好きなガラス作家、大室桃生さんのガラス展に行ってきました。
「パート・ド・ヴェールのシェード」展。
青山のDEE'S HALLというとてもおしゃれな空間で開かれています。

大室さんとは数年前に京都のリスンというお店で偶然にお会いしました。
リスンでの彼女の展覧会の、明日が初日という日。
彼女は一人で一生懸命に作品の展示の作業中でした。
その飾られた器を見ていっぺんに魅せられてしまった私。展示前の作品でしたが、特別にお願いして手に入れてしまいました。
こんなに軽やかな世界をガラスに描ける人がいたということに驚きました。
その作品はもうそのとき限りのこの世に一つしかないもの。
そういう訳で手に入れた作品は大切な私の宝となりました。


大室さんのガラスの世界は、彼女の作り出すファンタジーです。
いろいろな色がガラスの上で音楽を奏でているのです。

試行錯誤を重ねながらの、今回の新しい試みの作品。
彼女のフィルターを通して生まれた新しい色と感触の作品です。
もしよろしければ、青山への散歩の途中でぜひご覧になってください。
表参道から、南青山に入ったところにある素敵なギャラリーで開催中です。

ギャラリーにはベーグルとマーマーレードが置いてありました。
このマーマレード、とても美味しかったのです。
庭の夏みかんで作られたそうなのですが、ジンジャー入り。思わず買って来てしまいました。



2010_03_19-3


 
  大室桃生 パート・ドヴェールのシェード2
  「DEE'S HALL」にて2010年3月17日(水)〜3月24日(水)まで開催中
     open 12:00~20:00 (日曜・祝日及び最終日は18時終了)

DEE'S HALL
http://www.dees-hall.com/index.html

連載情報「大江戸釣客伝」

小説現代2010年4月号に、夢枕獏「大江戸釣客伝」
第三十二回 巻の十七 松の廊下(承前)が掲載されています。

遂に浅野内匠頭切腹。

小説現代2010年4月号

『小説現代』4月号 〈短編小説特集「50歳」〉
発行:2010年4月1日
発行所:講談社
定価:940円(本体895円)

小説宝石から生まれた本

小説宝石2010年4月号の「小説宝石から生まれた本」に、
夢枕獏「獅子の門」シリーズをナビゲートする大倉貴之氏の「群像小説の行方」が掲載されています。


小説宝石2010_04

『小説宝石』4月号 〈特集 愛と官能の物語〉
発行:2010年3月22日
発行所:光文社
定価:780円(本体743円)

「韓国鮎ツアー」第4回

韓国鮎ツアー4-1

韓国鮎ツアー4-2

 秋山さんもたくさん釣ったのですが、ちょっとお疲れですね。
全員が翌日は筋肉痛でしたよ。

「韓国鮎ツアー」第3回

韓国鮎ツアー3

 やったぜベイビー。ガッツポーズ。
 ついに一束(百)超えをはたしました。
 一〇四尾です。ほんとはもっと釣って、逃げてしまったものもいた(曳き船の中に鮎を入れると、中に鮎がいっぱいいるものですから、押し出されてきて逃げちゃうんですよ。嬉しい悲鳴です。オホホホホ)のですが、秋山さんにカウントするのは残った鮎だけですよと言われて、一〇四尾となってしまいました。
でも、一〇四尾だから、ま、いいか。
おほほほほほほほ。次は、尺鮎を釣るのが目標です。
うほほほほほほほほほほ。

Some Kind of People

2010_03_17-1





なんか、そんな人っているよね-------


「ドラム・フェチってあるんだなあ」と獏先生から言われました。
そうなのです。
私は、ドラフェチ。
「ドラムス大好き人間、打楽器大好き人間」
体外私はどのライブハウスに行っても「ドラムスの前の席でお願いします」と言って座ります。
どんなに有名なピアニストの公演でもドラムスの前に座り、その一言一句ならぬ一音一打を聴き逃さないように、じっとドラムスを見つめているのです。
変です、私。
でも。
誰に迷惑がかかるというものではないし。
変だと言われようと打楽器ドラフェチの生きる道をただひたすら歩む私です。
(でも、そんな私にドラムスのことを聞かないでくださいね。ハマらないドラムスにはとことんハマらないので、すべてのドラムスを網羅しているわけではありません。すみません)

ドラムスを見るのは本当に楽しいです。
スティックさばきを見ていても、ハイハットの使い方を見ていても個性があって楽しめます。
きれいな姿勢で黒人ドラマーが打っている姿をみると感激します。
ああ、この人はきれいだなあと音だけではない何かに、その時から魅かれ始めるわけです。そしてその人の参加するアルバムをネットで探したりという、ジャズファンのお決まりの、いつのまにかオタクの世界へ。
でもドラマーの情報は、ビックネーム以外のドラマーについては悲しいくらいにありません。
ドラマーに対する評価はそんなものなのです、世の中って。
ドラマーとの出会いは一期一会。
もしいいドラマーに出会えばその日は一日夢心地です。
その時から私の心はシンバルレガートで果てしなくドラマーを追い求め波打つという感じでしょうか。



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 ドラムス、乱れ打ちじゃー。
     シャンパンのコルクが落ちている、なぜだろう。

 

一昨日、スタジオで人を待っている間、たまたま一人になる時間がありました。
そのスタジオにはドラムセットが置いてあり、誰もいないスタジオで私はそのドラムセットにそっと触れてみました。人にわからぬようにこっそりと。
シンバルはジルジャン。トルコからやってきた楽器です。
人のシンバルというものに触れるのは実は初めてでした。
さわっただけでとてもきれいな音がでたのにはビックリです。そこがスタジオだったからでしょうか。シンバルをいい音がでるように支えているものは何というのでしょう。コイツが陰で、シンバルが一番いい状態に音を出せるように支えているのですね。
驚いた事にスネアの皮を触っただけでもきれいな音が出ました。
軽く指で叩いただけでも、かわいらしい音がその表面から生まれ出てきました。

人を待っていただけの短い時間でしたが、ドラムは凄い楽器だなあと改めて思い直した、ドキドキする時間でした。
ドラムは、ささやくような繊細な音からまるで雷のような音まで出す事の出来る不思議な楽器です。
ピアノが音の川だとしたら、ドラムはまるで音の森です。

ああ、やはりどうしようもないドラムフェチですね。
こんな人たちも間違いなくこの世に存在していると思います。
世間の目はとかくピアニストに偏りがちですが、こんな人間もいるのです。


私にとっての究極の打楽器、それは手拍子。
デイブ・ブルーベックの『Time Further Out』の中に入っている「Unsquere Dance」の手拍子。最高にカッコいいです。途中で加わるジョー・モレロのスネアのリムの音も最高の効果を出し、このアイロニカルなタイトルと、それから最後に聴こえる演奏者の笑い声も。
私には「Unsquere Dance」は最高の一曲です。
4分の7拍子という変拍子。
変拍子はシンプルに、こういうノリが一番。
四角四面ではないアンスクエアな表現に遊んだりするデイブ・ブルーベックもなんだか面白い人です。こんな人っていますよね。
います、います。
私は好きです。



2010_03_17-3

 このアンスクエアな表現。素晴らしいのだ、私的には。


プロフィール

夢枕 獏

作家、1951年1月1日、神奈川県生まれ。 東海大学文学部日本文学科卒。
1977年に作家デビュー。 以後、『キマイラ』『サイコダイバー』『闇狩り師』『餓狼伝』『大帝の剣』『陰陽師』などのシリーズ作品を発表。 1989年『上弦の月を喰べる獅子』で日本SF大賞、1998年『神々の山嶺』で柴田錬三郎賞を受賞。2011年『大江戸釣客伝』で泉鏡花文学賞と舟橋聖一文学賞を受賞。同作で2012年に吉川英治文学賞を受賞。
漫画化された作品では、『陰陽師』(漫画 岡野玲子)が第5回手塚治虫文化賞、『神々の山嶺』(漫画 谷口ジロー)が2001年文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞をそれぞれ受賞。 映画化された作品に『陰陽師』『陰陽師2』(東宝)、『大帝の剣』(東映)などがある。

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