夢枕獏公式Blog「酔魚亭」

2010年03月

月を送る

昨夜は満月。
西行の桜の望月。
桜が咲く頃の天気は変わりやすく、久しぶりに月を月として見る夜。

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 大磯の西行饅頭。西行の月がいっぱい。まん丸だーっ。


昨夜。デンマークにメールを送った私。

今、大変なことでやり取り中なのです。
私がプロデュースするジャズミュージシャンの来日ライブ。
実は、来日するベーシストの仕事がベルリンでライブ前日ぎりぎりまで入っているということが判明。
「なんだとー?それってオーバーブッキングじゃん!」と襟首つかむ訳にもいかず、「えー、それは困るなー。だってもうリハーサル予約してあるもんね」と優しく強く訴える私。

これは、海外のミュージシャンを招く人たちには当然付いてくるリスクです。
後ろに大きな組織が付いているわけでもなく資金源もない弱小の私。
とりあえず粘るしかありません。
私はこういうことで絶対に譲りたくないタイプ。
ギリギリまでしつこく交渉を続けるのみです。

でも、困ったなあ。

というわけで、昨夜遅くメールを出していたのですが、ラップトップの机の上、窓を見上げれば中空に月が。
それも朧の満月。
そうか今朝の新聞にも西行忌のこどが書いてあったなあ、と思わず液晶画面のデンマーク行きの英文を通り越して、日本の月を眺めている私がいました。

歌人西行は旧暦の2月15日に没したことになっています。
西行が逝ったのは彼の望みと同じ「その如月の望月の頃」です。それが昨日。
獏先生の書いた『宿神』の最後にもこの西行の逝く美しいシーンは出てきました。
私は朝日新聞に連載中だったこの『宿神』の最後、大好きでした。
(これって、いつ単行本として出版されるんですか?先生!もう待ちきれませんよ。絶対に来年の如月の望月までには出してくださいね)

    春風の花を散らすと見る夢は覚めても胸の騒ぐなりけり 西行

ああ、これって、デンマークのミュージシャンとのアクシデントに翻弄される、まるで今の私の心境です。

最後にデンマークに昨夜送った私のメールの最後に添えた「月」。
「FULL MOON」と英語の文字で。
そしてその月にもうひとつ「白い桜の花びら」を英語の文字で添えました。
その月は昨夜メールでデンマークに送られ、8時間後の今、メールが届いたデンマークはその満月の下。
私の想いは届くのか。
思えば不思議な、時間と想いの交錯です。


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 風景に浮かび上がるこの青ざめた桜色が好きだ。
     京都の蹴上の琵琶湖疎水の桜。



「行ってきました日本の鮎」第4回

行ってきました日本の鮎_4

 三時間ほど竿を出して、そこそこ釣りました。

連載情報「宿神」

「一冊の本」2010年4月号に、夢枕獏「宿神」
第二十四回 【巻の十一 保元の乱】が、掲載されています。


一冊の本10年4月号

朝日新聞出版『一冊の本』4月号
発行:2010年4月1日
発行所:朝日新聞出版
定価:100円(本体95円)

「行ってきました日本の鮎」第3回

行ってきました日本の鮎_3

 いよいよ釣り開始。

次の世代へ

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「ぼくは自分を『生涯一ディレクター』と思っている。だから『サンプロ』は終わっても、『朝まで生テレビ』は続けたい。スタジオでみんながわあわあやっている時に、あれ、田原が静かだなと誰かが気づいて、私を見たら息をしていない。それが理想です」ジャーナリスト 田原総一郎

21年続いたテレビ朝日の番組「サンデープロジェクト」3月28日終了。
田原総一郎はどこへ行くのか。


彼の番組に対するスタンスは「批判をするなら対案を持つべきだ」という考え。
そういう考えなので、彼は対案を実現できる力を支持したりする。
あらゆる権力、政治家との距離が近いというのだ。

この人のエネルギーの凄さにはいつも唸らされていた。
強引にうまく仕切っているなあ、といつも思っていた。
最後の放映日となった昨日の主役は田原総一郎氏。
各党の党首を前にいつもの田原節が炸裂。
最後に笑顔で番組を終了した田原氏の笑顔がすべてを物語っているのかも。
彼はこの後も元気に道場破りを続けるそうだ。

「サンデープロジェクト」
終わらせるのはもったいないくらいいい番組だったなあ。
田原氏の強烈なキャラクターが番組をひっぱっていた。
番組はテレビ局のどういう方針が動いたのかわからないが終わった。
何のかんの言っても終了。
でもなのだ。
貴重な番組を終わらせることで、見えてくるものが必ずある。
と私は強く思った最終回。
続けることが大切だとばかり思っていたけれど、終わりがあって見えてくるものも必ずある。


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田原総一郎氏は「おまえは何者だ?」と自分に聞いてみたらこう答えるそうだ。
「私は好奇心が強い、疑問を解きたい、そういう人間だと答えるでしょう」

国民学校の5年の夏休みに敗戦を迎えた。そのときに天皇陛下のために戦っていた大人たちが百八十度変わった。そんな価値観の大転換が彼らのルーツになったという。

「世の中の常識は疑え、です。何が正しいか、何かまちがっているか、それはあまり考えない。疑うことを見せる、疑い続けることが、ぼくらの世代の使命じゃないかと思っています」


この人も「気骨の人」。
つくづくそう思う。
敗戦を経験した田原総一郎氏の世代に比べれば、時代をただ、流れにのって流れてきただけのような私たちの世代。
こういう、時代を背景にしてできあがった強烈な「気骨」を次の世代はバトンタッチしていけるのだろうか。

つくづくそう思う。

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「行ってきました日本の鮎」第2回

 秋山さんと二人で温泉旅行と鮎釣りです。

行ってきました日本の夏2-1

 福島から新潟へ移動して荒川へ。

行ってきました日本鮎2-2

 秋山さんは岸近くで釣っています。

「行ってきました日本の鮎」第1回

行ってきました日本の鮎_1

 そんなわけで、いよいよ本格的な鮎のシーズンに突入です。
 その前に、汗かきのわたしは、床屋へ行って髪をばっさり。
床屋のこのはさんです。



 夢枕獏写真日記「行ってきました日本の鮎」は、
会員制HP蓬莱宮で2008年9月に発表したものをブログ用に再編集したものです。
 最新の夢枕獏写真日記は蓬莱宮でご覧下さい。

太陽王がやってくる

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優しい春の雨が薔薇の芽を光らせる。




Beatlesの『Abbey Road』の中に入っている「Sun King」の始まりには虫の声。
そして始まる歌詞「太陽王がやってくる、太陽王がやってくる」
昔のJK.yはこう訳した。
今でもこの曲を聴くと体に呪文のように響くこの言葉。
太陽王がやってくる、太陽王がやってくるー

最後のほうで聴こえて来るジョンの意味不明な異国語の羅列も太陽王崇拝のよう。
大好きな数多くあるBeatlesの曲の中でも、私的にはなぜか特別の「Sun King」
風景が見えてくるこの曲は、このアルバム『Abbey Road』の中でも一番好きな曲。
高校生だった私に、Beatlesが言葉と音とでぶつけてきた風景画。

雨が上がって、日差しが差し始める時、地面からの暖かな湿り気が、草の香りと共に立ち上がってくる。
その一瞬に訪れる感謝にも似たこの気持ち。
太陽を信仰するということは、本当はこういう穏やかな気持ちだったのかも。
今改めて聴き直しても素晴らしい曲だと思う。


Beatlesのこのアルバムの「Sun King」からのメドレーはなかなかなのです。
えー?そんなこと知ってますよ、今更言わずともファンの間では常識ですよ、ですか。
私は伊坂幸太郎氏の小説で有名になったあの「ゴールデンスランバー」に始まるメドレーより、こちらのメドレーの方がなぜか好き。
特に「She Came In Through The Bathroom Window」が始まるあたりがたまりません。
ポールの少しハスキーな声で入ってくるSHE。
バスルームに侵入した彼女って一体何者だ?このSHEってどんな女なのだ。許さんぞ。
この不思議な正体不明のSHEに高校生の私は異常にジェラシーを感じたもんです。



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 春の日差しの中で草の姫に敬意を表すうちの猫。



以前にも言いましたが、ドラムフェチの私。数多く出されたBeatlesのアルバムの中のドラムスでは、このアルバムでのリンゴ・スターが一番好きなのです。
「She Came In Through The Bathroom Window」に向かうドラムス、それから「The End」の迫力は素晴らしいです。
以前、ドラマーのI氏とリンゴ・スターの話になり、「私はリンゴのドラムスはあまり好きではありません、下手ですよねっ」とI氏に言ったら、「えーっ、リンゴのドラムスはいいですよー」ときっぱりと言われてしまいました。

しまったーっ。I氏に私の本当の能力をさらしてしまった。
もしかして私にはドラムスを聴き分ける能力がないのではという重大なこと・・・あああ。墓穴をほるとはこういうことです。

その時から、どのバンドのどのドラムスの悪口も言わないように心がけています。
聴き分ける力のない私、簡単に下手とか上手とか言ってはならないのだということなのです。戒め、戒め。
だから・・・
ずばり「好きか、嫌いか」で言うことにしました。
それだったら許してもらえるでしょ。


昨年秋に発売されたBeatlesのリマスター盤ザ・ビートルズBOX。
新しいもん好きの私、即、ステレオ盤の方を購入。
でも私の高品質ヘッドホンで聴くと、なぜかものすごく居心地悪いのです。
はっきり言って気持ち悪くなりました。
昔から古い音で聴いてきた古い人間だからか、新しいリマスター盤は変に音が作られていてどうしても馴染めません。
だから、このリマスター盤を聴く時は、BOSEのスピーカーでシンプルに聴くようにしています。
つまり、昔Beatlesに燃えた私には音の細かいことなどはどうでもよかったのです。


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 何と言ってもやはり全部好き!
     昔の私のすべてが詰まっている、この中に。


「韓国鮎ツアー」第7回 最終回

韓国鮎ツアー7-1

 河原に花が咲いております。


韓国鮎ツアー7-2

 雨が降ってきたので、橋の下で釣った鮎を焼いて食べました。
まあまあのお味でございました。

「韓国鮎ツアー」了


 夢枕獏写真日記「韓国鮎ツアー」は、会員制HP蓬莱宮で2008年9月に発表したものをブログ用に再編集したものです。
 最新の夢枕獏写真日記は蓬莱宮でご覧下さい。


新!読書生活

新!読書生活

読売新聞 2010年3月24日(水)14面に、
3月9日に住友ホールで行われた第21回「新!読書生活」の様子と、
夢枕獏の基調講演の概略、夢枕獏と松原隆一郎さんの対談のダイジェストが掲載されています。


読売読書生活

第21回「新!読書生活」
主催:活字文化推進協議会
主管:読売新聞社
協賛:徳間書店
協賛:双葉社

基調講演:夢枕獏「物語と旅」
対談:「旅にもってゆく本」

夢枕獏 推薦本
前野隆司『脳はなぜ「心」を作ったのか』筑摩書房
司馬遷/訳・市川宏、杉本達夫『史記』徳間書店
半村良『完本 妖星伝』祥伝社
中沢新一『精霊の王』講談社
呉承恩/訳・中野美代子

松原隆一郎 推薦本
レビストロース/訳・川田順造『悲しき熱帯』中央公論新社
宮本常一『忘れられた日本人』岩波書店
太宰治『津軽』新潮社
鷲田清一/写真・鈴木理策『京都の平熱 哲学者の都市案内』講談社
川井龍介『「一九の春」を探して』講談社

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