わたしです。このあと全裸にならねばなりません。
みんな、せまい船で、沖ノ島へ。
島が見えてきました。
2010年02月
わたしです。このあと全裸にならねばなりません。
みんな、せまい船で、沖ノ島へ。
島が見えてきました。
いつもこんなにいい子だといいのだ。
昨夜、私の住んでいる街にも雪が降りました。
朝起きると、うちの猫に不思議なことが。
体が濡れているのです。
猫は部屋の中で寝ているので外に出られるはずもないのです。
部屋の中には猫が飲む水以外の水はありません。
もしかして・・・
不思議な魔法の使える猫、一人でまたどこかに旅に出ていたのかも。
雪の夜、猫はデモンハンティングにでかけるのだ。
などと同居人と思いをめぐらす楽しい朝のひとときです。
見つめている、見つめている。
私とその猫。
冬の間はなぜか仲良し。この季節限定です。
いつも私の側にいて、私が朝ご飯を食べている隣の椅子に腰かけて、いつも私の飲むミルクを見つめています。
時々テーブルの上に、恐る恐る小さな手がのびてきます。
うーん、それがたまらなく可愛い。
実はもうすっかり爺さん猫なんですが、見つめる瞳はまるで少年。ポール・ギャリコの小説『ジェニー』にでてくる猫のようです。
私が忙しく動き回り、家の仕事をしている時。
ふと気づくと、柱の陰から私をみつめています。
好奇心の矢でもって私に射かけてきます。
「この人は何をしてるんだ」
「ご飯の時間ってまだだよな」
「それにしてもこの人はいつも働きモンだ。感心するな」
等々と考えながら、夢中で私のことを見ています。
この時、彼の世界の中にいるのは彼と私のふたりのみです、多分。
その猫の視線にふと気がついた時、私は思わず彼に駆け寄ってしまうのです。
可愛くて愛おしくて。
「なんだー、またそんなところで私のこと見てたの！んもー、可愛いんだからー」
ずんずんと近づいてくる巨大な私を見て、またお母さん（私のこと）の変な趣味が始まったと、さっと方向転換、彼は逃げようとします。
が、すかさず私は彼をゲット。
私の腕の中に無理矢理入れ、
よしよしと両手で頭を撫でてあげて、唇を思いっきり危なく近づけて「好きだよ」と何度も何度も愛の告白。
（これって「手込めにする」ってことですか）
優しく撫でているうちに彼の目はあっというまにとろけていきます。
（これって「陥落させた」ってことですか）
そうして、私は「いい子だね」と心の底から何度も声をかけてあげるのです。
不思議です。そうすると猫は目を閉じて一個の玉になってしまいます。
本当にこれは不思議。
私はこれを「猫を玉にする」と名付けています。
猫を「手玉にとる」転じて「玉にする」。
冬の間だけの私のお楽しみ。
ほんとに玉のように丸くなりますから、猫。
うふふ。
悪い私は、この猫に「おすわり」「お手、おかわり」も教えてしまいました。
それに朝は「おはよう」も言えます。
もう完全に私のものです。
それからおまけに。
小さい頃からジャズを聴いて育ったので、サックスの音でも鳴けるようになりました。
私の機嫌が悪いと、側で鳴いて私の気を引いてなだめてくれます。
彼の鳴く、My Funny Valentineなんか最高です。
来週から季節は春。
少し暖かくなるそうです。
そうするとまた、猫と私の距離は離れていくのです。
まるで何事もなかったかのような、かつての恋人同士のように。
南仏のホテルの美しいチョコレート。
モントン産のレモンのプラリネ入り、
その他にもローズマリー、ココナッツ、ミント、
干しぶどう、松の実、ゆず、紅茶、
パッションフルーツ等が使われています。
これを日本のこの場所で食べることができる、
この冬の幸せ。
つんつん上を向いているのは冬の庭の木槿。
寒いですね。２月と８月は一年で一番ものが売れない時だとか。
実は、頭が今CDリリースのことで一杯なのです。
これはいけないと、心がけて違うジャズを聴くようにしてみました。
ジャズのライブ盤アルバムの中でも、最も好きな一枚。
ピアニストPETRUCCIANIの、ペデルセンとのコペンハーゲンジャズハウスでのDuoの名演を今日は夢中で聴いていました。
どこで聴いても素晴らしいペトルチアーニなのに、これはまさしくペデルセンの色に染まったデンマークの音を出しているペトルチアーニです。
二人は残念ながらもうこの世にはいませんが、もし私がこの年にコペンハーゲンに住んでいたなら、もし私がこの演奏の場にいたなら私はどうするのでしょうか。
二人に恋におちていたかもしれません。二人はものすごく楽しそうです。
音楽をやる喜びに満ちあふれています。
この二人の躍動感に満ちあふれた演奏、素晴らしいなあと何度も聴き直しています。
楽しそうなペデルセンです
これはCOPEN JAZZ FESでの写真 GORM VALENTIN 撮影
そうして。
私は振り子のように、磁石のようにすぐにまた私の『Someday. Live in Japan』に戻ってしまうのです。そして、この自分の作ったCDがどんなにいいCDなのか再確認している私がいるのです。
（ここから先は聞き流してください）
「えー！やっぱりこれの方がいいかも！」
つまり「ペデルセンとペトルチアーニ」と比べても「エルドとヨルト」の方がいいかも、などと、考えてしまう私がいるのです。
恐ろしい事です。
「やっぱりうちのエルドちゃんとヨルトちゃんが一番ざます」って感じ。ああ、危ない危ない。
聞き流してください。
でも。
やはり私は思うのです。
この強い、恋のような気持ちがないと人は動かないのだ、と。
彼らの音楽に恋をしたからこそ、このとてつもない常識はずれのエネルギーは生まれてきたのだと。
この気持ちは大切に、決して否定してはならないもの。
それに、私は十分に大人でなくてはならないのだ、もう恋だけではない私の運転する「Cloud」という車に乗って皆が動き始めているのだから。
人知れず思う恋ならまだしも、大きな恋には責任がつきものなのだということは大人なら誰でも知っている事。
私はこの車を動かすために音楽と言う薪をくべ、動力にし運転をして行こうと決めました。
動かすための新しい薪をとるために今日もまた音楽という森へでかけて行くのです。
今日はそこにいたのが、偉大なる「ペデルセンとペトルチアーニ」なのです。
丸の内の夕方の景色。
洋服を試着していてこの景色に気づきました。
美しくて、寒風の中飛び出して思わず写真を。
獏先生がめでたく異国の地より昨日お帰りになりました。
編集者の方々、お待たせしました。
本日から身を粉にして再び机前の人としてお仕事に専念させていただく予定です。
留守中は大変にご迷惑をおかけしました。
昨日、目の前に現れた獏先生は、どちらが前でどちらが後ろかもわからないくらいに真っ黒なお顔でした。
どこの炭坑でお仕事されてきたんですか？というくらいに真っ黒でした。
それに腕には何百カ所という虫さされの痕。オリノコ川で、
ブヨに刺されたそうです。おいたわしいそのお姿。
ま、いいんです。
ご自分で選択された旅ですので。
今回の旅は、コナンドイルの旅。
『ロストワールド』への南米ベネズエラへの旅でした。
大谷映芳氏が一緒だったので大変心強く、
それほど心配はしておりませんでした。
が、無事帰ってこられて本当によかったです。
やはり遠い異国の地、それも『ロストワールド』への旅は相当な旅だったようで、
疲労と興奮との帰国、となりました。
写真を少しアップしてみました。
どうぞご覧ください。
ギアナ高地の僻地度、それに素晴らしい風景、
少しおわかりいただけると思います。
昨日報告を受けてのアップですので、
内容等もしかして少し間違っているかもしれません。
とりあえずのご報告まで。
キャンプ地からの朝の様子です。
このような場所でのキャンプもあったそうです。
山上トレッキング途中の風景。
重い荷物を背負って雨の中を歩いたのだとか。
編集者の方々、お待たせしました。
本日から身を粉にして再び机前の人としてお仕事に専念させていただく予定です。
留守中は大変にご迷惑をおかけしました。
昨日、目の前に現れた獏先生は、どちらが前でどちらが後ろかもわからないくらいに真っ黒なお顔でした。
どこの炭坑でお仕事されてきたんですか？というくらいに真っ黒でした。
それに腕には何百カ所という虫さされの痕。オリノコ川で、
ブヨに刺されたそうです。おいたわしいそのお姿。
ま、いいんです。
ご自分で選択された旅ですので。
今回の旅は、コナンドイルの旅。
『ロストワールド』への南米ベネズエラへの旅でした。
大谷映芳氏が一緒だったので大変心強く、
それほど心配はしておりませんでした。
が、無事帰ってこられて本当によかったです。
やはり遠い異国の地、それも『ロストワールド』への旅は相当な旅だったようで、
疲労と興奮との帰国、となりました。
写真を少しアップしてみました。
どうぞご覧ください。
ギアナ高地の僻地度、それに素晴らしい風景、
少しおわかりいただけると思います。
昨日報告を受けてのアップですので、
内容等もしかして少し間違っているかもしれません。
とりあえずのご報告まで。
キャンプ地からの朝の様子です。
このような場所でのキャンプもあったそうです。
山上トレッキング途中の風景。
重い荷物を背負って雨の中を歩いたのだとか。
まず、大島へ渡り、民宿へ。
海の見えるいい民宿でした。
翌朝、港に集合。
地元の漁船に分乗して、沖ノ島へ。
知られざる、九州沖ノ島の宗像大社のお祭に行ってきました。
毎年、二〇〇人しか行けません。行く人は船で沖ノ島へ渡らねばなりません。
ここは、宗像大社の三女神が天より降り立ったと言われているところです。
宗像大社の奥の院とでもいうところです。
夢枕獏写真日記「宗像大社祭」は、2008年8月に会員制ＨＰ蓬莱宮に掲載されたものを、ブログ用に再編集したものです。
最新の夢枕獏写真日記は蓬莱宮でご覧下さい。
毎年、二〇〇人しか行けません。行く人は船で沖ノ島へ渡らねばなりません。
ここは、宗像大社の三女神が天より降り立ったと言われているところです。
宗像大社の奥の院とでもいうところです。
夢枕獏写真日記「宗像大社祭」は、2008年8月に会員制ＨＰ蓬莱宮に掲載されたものを、ブログ用に再編集したものです。
最新の夢枕獏写真日記は蓬莱宮でご覧下さい。
エンターブレインの月刊誌『コミックビーム』で連載中のコミック版『大帝の剣 』。
『コミックビーム』2010年3月号には、
原作＝夢枕獏・画＝渡海（ドヘ）「大帝の剣」
〈天魔の章 神魔咆哮編 一章 「獣王」 其の四〉。
ようやく才蔵は、申、源九郎と舞＝蘭が合流するが...
誌名：コミックビーム ２０10年3月号
発行所：エンターブレイン
発売元：角川グループパブリッシング
定価540円（本体514円）
単行本『大帝の剣 ４』発売中！
『コミックビーム』2010年3月号には、
原作＝夢枕獏・画＝渡海（ドヘ）「大帝の剣」
〈天魔の章 神魔咆哮編 一章 「獣王」 其の四〉。
ようやく才蔵は、申、源九郎と舞＝蘭が合流するが...
誌名：コミックビーム ２０10年3月号
発行所：エンターブレイン
発売元：角川グループパブリッシング
定価540円（本体514円）
単行本『大帝の剣 ４』発売中！
『月刊コミックブレイド アヴァルス』の3月号に
「混沌（カオス）の城」第十一話 金沢城 が掲載されています。
誌名：月刊コミックブレイド アヴァルス 2010年3月号
発行：マックガーデン
定価：600円（本体571円）
原作 夢枕獏・漫画 松葉博「混沌の城」の単行本は、
１巻と２巻が発売中。
「混沌（カオス）の城」第十一話 金沢城 が掲載されています。
誌名：月刊コミックブレイド アヴァルス 2010年3月号
発行：マックガーデン
定価：600円（本体571円）
原作 夢枕獏・漫画 松葉博「混沌の城」の単行本は、
１巻と２巻が発売中。
こういう表現ではどうだろう。
私はこの音の首飾りをいつでも身に纏って出かける。
いつでもどこでも眺めてはため息つき、この美しさに惚れ惚れとし、皆に見せて「どうだっ！」と言いながら世界中を旅して歩く。
その時、皆がえーーっ？と口を空けて私の方を見続けた。
「ありえない！同じ曲をどうして一枚のアルバムに2曲も入れるのだ？」
真面目に、大人なマグナスも私へのメールでも言い続けた。「おかしいよ、それ」
それはアルバム『Someday. Live in Japan』に入れるトラック（収録曲）のことでやり取りしている時。
プロデューサーである私が提示した「Someday My Prince Will Come」
この曲が1枚のCDの中に２曲も入っているという事実に皆が気づいた時。
でもかなり頑固な私は、かなり頑固な皆に「これだけは譲れない」と渋とく、しつこく言い続けた。
「よし、こうなったら私の本気度をみせてやる」と私はデンマークに出かけて行って収録曲について頑固なジャズピアニスト、マグナス・ヨルトに直談判。
「日本人女性はこういう曲が好きなのだマグナス、この曲を入れればマグナスの女性ファンが倍増するはずに決まってるじゃん、いひひひ」
と、私がマグナスに言ったかどうかは忘れましたが、マグナスは意外にもすぐにSomedayを２曲入れることについて折れてくれた。
なんだーっ、それなら最初からそう言ってよ。
でも多分、突然にデンマークに押し掛けてきた私の気迫に、真面目なマグナス青年はビビったのだと思う。それにタイトルに関してもすんなりと「Someday」でOKだよと言った。
いい奴だ、マグナスは。
つくづくそう思う。
そういう経緯でマグナス・ヨルトのライブ盤アルバム『Someday. Live in Japan』の収録曲は決まったのです。
お茶の水NARUでの録音曲、揉めに揉めた「Someday My Prince Will Come」は最後にボーナストラックとして収めるということで一件落着。
でも本当のことを言うと、それにはマグナスからの条件提案があったのです。
ボーナストラックに入れる「Someday My Prince Will Come 」は、最後の曲「Bess~」の終わった後３０秒後に入れてね、という彼なりの、なかなかいじらしい蘊蓄ある提案でした。
が、実は私はこれを守っていません。
マグナスは私のこの裏切りをまだ知りません。
私は悪いプロデューサーですだ。
ボーナストラックまでの３０秒の無音のインターバルはあまりに長過ぎです。ご免、マグナス。
大人だけど真面目でガンコなマグナスはこれを知ったら怒って日本に飛んでくるかもしれません。
その時はどうしよう。
何んでこんな内輪話をここでするのだと言われそうです。
今回CloudからリリースするCD『Someday. Live in Japan』についてのエピソード。
語れば尽きません。もっと語りたい、あああしゃべりたい。
みんなプロデューサーってこうなのでしょうか。それとも私だけですかね。
こんなお喋りなヤツって。
一枚のCDを作るということはまさしくいろいろなことの積み重ねと経緯からできています。
昨日『Someday. Live in Japan』がプレス工場から届きました。
届けられてきたのは段ボール箱にぎっしりと詰まった私の作品。
目の前にできあがったばかりの沢山のCDを見た時に、これがこれからいろいろな人の元へ届けられてそれが広がって行くのかと思うと、感無量で涙がこぼれそうになりました。
私のディストリビューターでもあるB社のT氏は、２０代の時、初めて出来上がった自分の手がけたアルバムが世界中の誰よりも早く自分に届いた時、その夜はそれを抱いて寝たとか。
なんてせつない美しい話なのでしょう。
皆同じような気持ちなのです。
この、何か愛おしくなるような不思議な気持ち。
よしよし頑張ったなと優しく頭を撫でてあげたいような不思議な気持ち。
自分で自分に捧げる想い。
あまりに沢山のことがありすぎて、もう二度と同じことはやりたくないというくらいに長い道のりの果てに訪れるこの気持ち。
それは今まで想像することはできましたが、実際に経験してみて初めてわかった気持ちです。
私はいつまでもこの気持ちを大切にCDを作り続けて行きたいと思っています。
自分の作った作品は、私が身につける最高の宝石「音の首飾り」です。
音の鉱石の山から自分が掘り上げた石で作る、世界中探してもどこにもない最高の首飾り。
身につけて歩けるものならいつもこれを身につけて、いつでも手に触れ、この重さを確かめながら歩いて行きたいものです。
重いけれど、それはとても心地いい重さです。
本当にありがとう。
ミュージシャンにもそれからオーディエンスの方々にも。
「ありがとう」ともう一度。
CloudのサンプルCD。
こうやって色とりどりの封筒に詰められて出て行く。
巷へ。雲の港より出航していく。
私は、行ってらっしゃいと見送る岸壁の母です。
私はこの音の首飾りをいつでも身に纏って出かける。
いつでもどこでも眺めてはため息つき、この美しさに惚れ惚れとし、皆に見せて「どうだっ！」と言いながら世界中を旅して歩く。
その時、皆がえーーっ？と口を空けて私の方を見続けた。
「ありえない！同じ曲をどうして一枚のアルバムに2曲も入れるのだ？」
真面目に、大人なマグナスも私へのメールでも言い続けた。「おかしいよ、それ」
それはアルバム『Someday. Live in Japan』に入れるトラック（収録曲）のことでやり取りしている時。
プロデューサーである私が提示した「Someday My Prince Will Come」
この曲が1枚のCDの中に２曲も入っているという事実に皆が気づいた時。
でもかなり頑固な私は、かなり頑固な皆に「これだけは譲れない」と渋とく、しつこく言い続けた。
「よし、こうなったら私の本気度をみせてやる」と私はデンマークに出かけて行って収録曲について頑固なジャズピアニスト、マグナス・ヨルトに直談判。
「日本人女性はこういう曲が好きなのだマグナス、この曲を入れればマグナスの女性ファンが倍増するはずに決まってるじゃん、いひひひ」
と、私がマグナスに言ったかどうかは忘れましたが、マグナスは意外にもすぐにSomedayを２曲入れることについて折れてくれた。
なんだーっ、それなら最初からそう言ってよ。
でも多分、突然にデンマークに押し掛けてきた私の気迫に、真面目なマグナス青年はビビったのだと思う。それにタイトルに関してもすんなりと「Someday」でOKだよと言った。
いい奴だ、マグナスは。
つくづくそう思う。
そういう経緯でマグナス・ヨルトのライブ盤アルバム『Someday. Live in Japan』の収録曲は決まったのです。
お茶の水NARUでの録音曲、揉めに揉めた「Someday My Prince Will Come」は最後にボーナストラックとして収めるということで一件落着。
でも本当のことを言うと、それにはマグナスからの条件提案があったのです。
ボーナストラックに入れる「Someday My Prince Will Come 」は、最後の曲「Bess~」の終わった後３０秒後に入れてね、という彼なりの、なかなかいじらしい蘊蓄ある提案でした。
が、実は私はこれを守っていません。
マグナスは私のこの裏切りをまだ知りません。
私は悪いプロデューサーですだ。
ボーナストラックまでの３０秒の無音のインターバルはあまりに長過ぎです。ご免、マグナス。
大人だけど真面目でガンコなマグナスはこれを知ったら怒って日本に飛んでくるかもしれません。
その時はどうしよう。
何んでこんな内輪話をここでするのだと言われそうです。
今回CloudからリリースするCD『Someday. Live in Japan』についてのエピソード。
語れば尽きません。もっと語りたい、あああしゃべりたい。
みんなプロデューサーってこうなのでしょうか。それとも私だけですかね。
こんなお喋りなヤツって。
一枚のCDを作るということはまさしくいろいろなことの積み重ねと経緯からできています。
昨日『Someday. Live in Japan』がプレス工場から届きました。
届けられてきたのは段ボール箱にぎっしりと詰まった私の作品。
目の前にできあがったばかりの沢山のCDを見た時に、これがこれからいろいろな人の元へ届けられてそれが広がって行くのかと思うと、感無量で涙がこぼれそうになりました。
私のディストリビューターでもあるB社のT氏は、２０代の時、初めて出来上がった自分の手がけたアルバムが世界中の誰よりも早く自分に届いた時、その夜はそれを抱いて寝たとか。
なんてせつない美しい話なのでしょう。
皆同じような気持ちなのです。
この、何か愛おしくなるような不思議な気持ち。
よしよし頑張ったなと優しく頭を撫でてあげたいような不思議な気持ち。
自分で自分に捧げる想い。
あまりに沢山のことがありすぎて、もう二度と同じことはやりたくないというくらいに長い道のりの果てに訪れるこの気持ち。
それは今まで想像することはできましたが、実際に経験してみて初めてわかった気持ちです。
私はいつまでもこの気持ちを大切にCDを作り続けて行きたいと思っています。
自分の作った作品は、私が身につける最高の宝石「音の首飾り」です。
音の鉱石の山から自分が掘り上げた石で作る、世界中探してもどこにもない最高の首飾り。
身につけて歩けるものならいつもこれを身につけて、いつでも手に触れ、この重さを確かめながら歩いて行きたいものです。
重いけれど、それはとても心地いい重さです。
本当にありがとう。
ミュージシャンにもそれからオーディエンスの方々にも。
「ありがとう」ともう一度。
CloudのサンプルCD。
こうやって色とりどりの封筒に詰められて出て行く。
巷へ。雲の港より出航していく。
私は、行ってらっしゃいと見送る岸壁の母です。
試合の写真がないのは、観戦に力が入って撮っている間がなかったからです。
みごと逆十字で一本勝ち。
記念写真。『キング』のコミネも一緒です。写真を撮ったのは長尾さん。
「大道塾へ行ってきました」了
夢枕獏写真日記「大道塾へ行ってきました」は、2008年8月に会員制ＨＰ蓬莱宮に掲載されたものを、ブログ用に再編集したものです。
みごと逆十字で一本勝ち。
記念写真。『キング』のコミネも一緒です。写真を撮ったのは長尾さん。
「大道塾へ行ってきました」了
夢枕獏写真日記「大道塾へ行ってきました」は、2008年8月に会員制ＨＰ蓬莱宮に掲載されたものを、ブログ用に再編集したものです。
プロフィール
夢枕 獏
作家、1951年1月1日、神奈川県生まれ。 東海大学文学部日本文学科卒。
1977年に作家デビュー。 以後、『キマイラ』『サイコダイバー』『闇狩り師』『餓狼伝』『大帝の剣』『陰陽師』などのシリーズ作品を発表。 1989年『上弦の月を喰べる獅子』で日本SF大賞、1998年『神々の山嶺』で柴田錬三郎賞を受賞。2011年『大江戸釣客伝』で泉鏡花文学賞と舟橋聖一文学賞を受賞。同作で2012年に吉川英治文学賞を受賞。
漫画化された作品では、『陰陽師』（漫画 岡野玲子）が第5回手塚治虫文化賞、『神々の山嶺』（漫画 谷口ジロー）が2001年文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞をそれぞれ受賞。 映画化された作品に『陰陽師』『陰陽師2』（東宝）、『大帝の剣』（東映）などがある。
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