夢枕獏公式Blog「酔魚亭」

2009年09月

異文化でスイングするこころ

先日、朝日新聞に「脳が踊るリズム感」と題して、またまた面白いことが書いてありました。

朝日だけでなく、すべての新聞は私の心に火をつけるフレッシュ情報ネタ本です。
インターネットニュースは私にはどこか胡散臭く速攻で仕組まれた匂いがして(多分そんなことはないのでしょうけど)頭には入りますが、あまり心に入ってきません。
時間に余裕がある朝の、ゆっくり新聞を読める時間は私にとっては至福の時間です。
電気の画面の文字より、紙とそれに印刷された文字に恋してるんですね、多分、私。


09_9_24-1

平成生ススキ 箱根仙石原にて。


というわけで、秋の連休初日の朝、ゆっくり広げた新聞に、ジャズのことがめずらしく科学的に書かれていましたので、それを少し。

「私たちはみな、固有のメトロノームを内蔵している。心臓の拍動だ。
ただ、日本人のような農耕民族は、足踏みや上下に手を打ち付けての拍子とりだ。
振り上げた鍬が地面についた時が一拍。拍子をとるたびにリズムが一旦死んでしまう。
一方、西欧騎馬民族系の音楽のリズムは、上へ上へと円を描きながら登っていくイメージ。重力に反発することで音が前に転がって行く」

という、大阪音楽大学大学院北野徹音楽研究科長の言葉。面白いです。

ジャズのスイングが成立するためには、この西欧騎馬民族の音楽のリズムの取り方が必要不可欠なんですね。
とするとですね、日本人の私たちの中にも、もしかして遺伝子的にこのリズム感が入って来ているかもしれないと勝手に想像してドキドキしました、私。
遺伝子学的にも、日本人だからリズム取れないべーなどと、卑屈になることは全然ないですね。太古の昔から、隣の広い大陸から私たちの遺伝子は大量に入ってきているし。
足の短さといった肉体的構造や社会構造上歴史的には農耕民族なんですが、心は騎馬民族のような自由な精神を持つ人もたくさんいますし、ね。
自由な精神とどこがリズム感に結びつくんだと突っ込まれそうですが。
多分、現在の日本において抜群にリズム感のいい人って騎馬民族の血をたくさん受け継いできた人なんじゃないかという勝手な私の想像です。
ちなみに私は多分、遺伝子的農耕民族です。
手拍子足拍子、鍬をえんやこらーの世界です。
はー、よいよい。


またこの新聞記事には、「ジャズの演奏は会話と同じ」とも書いてありました。
「一人一人が持っている固有のリズムを出し合い、ある瞬間にピタリと合う。それがスイングした状態だ」
「固有のリズム」とは一人一人の持つ文化と言ってもいいですね。
その一人一人の文化がそこで融合し合い「スイング」が生まれるのです。
いわゆる個人単位の文化の融合です。
お互い育って来た文化が違えば違う程その融合は素晴らしいものを生み出しうるのではないかというのが私の持論です。

人間は本来未知のものに惹かれるというどうしようもない生物です。
好奇心があるから、移動をし、恋をし、手に入れ、理解をし、といったことですよね。
私の好奇心も放っておけば、はてしなく宇宙まで飛び出していきそうです。
そのワクワクするような好奇心によって新しい文化が生まれていくのだと思います。



09_9_24-2

異文化交流のスタートは好奇心から
  ある大学教授のトスカーナのアトリエにて 皆子供のような好奇心 。


ジャズに話をもどせば。
「ジャズ」という特別な共通言語で語り合う会話。
様々なミュージシャンによるジャズの会話であるジャムセッションが今日もどこかで行われています。

いかがですか?村を越えてのジャムセッション。

日本の狭い村社会だけでは決して大きな「スイング」には育ちません。
文化の違いはスイングの振り幅の大きさの違いにもつながるというもの。

その異文化の会話から派生して来る素晴らしい「スイング」
米国人だけの会話によるジャズの「スイング」でもなく、北欧人だけの会話による「スイング」でもなく、それは未知の会話による「スイング」

シルクロードで西洋と東洋が出合って素晴らしく心ときめく文化が生まれたように
、その異文化の糸と糸とが繋がって、空に螺旋を描いて登ってゆくような音楽。

そんな音楽に、心から惹かれています、私。


09_9_24-3

伊豆の山の中で iPodでジャズを聴く。
   空と雲と樹を映し出す、今もっとも頼りにしている私の音楽再生機。






「忘竿翁日記 その二」第15回

 聖なる場所。セーファー御嶽の奥から久高島が見えます。
どうも、久高島を、ニライカナイに見立てているようです。

忘竿2-15-1

「忘竿翁日記 その二」第14回

なかなかの霊域です。

忘竿2-14-1

忘竿2-14-3




この壺は、上から落ちてくる水を受けるもの。不老不死をもたらす水で、これを、首里までもってゆくとか。

忘竿2-14-2


「忘竿翁日記 その二」第13回

爐こえおおきみ瓩箸い最高神女の儀式をするところです。
きこえのおおきみは、ノロの一番上位にいる人で、久高島のノロが、
このきこえおおきみを認定する儀式をつかさどることになっています。

忘竿2-13-1

忘竿2-13-2

忘竿2-13-3

愛する誰かに

09_9_16-1

彼岸花はよく見ると茎の色と蕾の色がとてもきれいです。
        リリーの一種なんですね。


「あなたには愚痴死が待っています」車谷長吉

このすごい言葉、さすが車谷先生です。一筋縄で行かない人生を歩んでいらっしゃった車谷先生。ある日の朝日新聞の『悩みのるつぼ』よりの抜粋です。
「人の不幸を望んでしまう、心を入れ替えたいのですが」と悩む46歳の主婦からの悩み相談に対する答えの中の一節。
「あなたがこれから先、もしまっとうな人生を歩まれるとしたら、これら人生の不幸(病気、貧困、思想的挫折など)を乗り越えた時だと思われますが、あなたには人生の不幸を乗り越える力がありません。愚痴死が待っているだけです。(中略)あなたの劣等感の原因は自分を認めてくれず、すぐに激高する父親に育てられたせいかなと思われているようですが、人間はみな不完全なのです。この不完全ということを覚悟することが大切です」
ううーむ、このカンフル剤のような、電気ショックのような、心臓マッサージのような回答。
効きます。
悩み相談者の当人にというより、読んでいる私に。
「愚痴死」がどういうものかわかりませんが、これは壮絶な死のような気がして、身悶えしそうなくらいすごい表現です。こんな死に方、死んでもしたくないですね。
死ぬときも愚痴をいいながら死ぬ、ってすごいです。
「あ、ありがとう、でもそれにしても嫌なつまらない人生だったーっ、これはあんたのせいだーっ」て感じですか?
とすると、なんとしても愚痴死だけは避けなくてはなりません。
かっこ悪すぎです。

「ありがとう、ありがとう」そして、ポトッとなって死ぬっていうのが理想ですねん。
何にありがとうかはわかりませんが、死ぬ時くらいは感謝して死にたいです。それが人生最後の言葉として愛する誰かに残していく最高の言葉でしょう。


「愛する誰か」に言葉を残していくのならこんな風に優しく語りたい。
Margareta Bengtson Someone To Watch Over Me


「私を見守る誰か」を求めてせつなく美しく歌うマルガリータ・ベングソンの声を引き立てているのはSwedenのジャズミュージシャンたち。
Piano Ove Lundin
Bass Martin Sjöstedt
Drums Calle Rasmusson

ピアノのオーヴのソロも素晴らしいけれど、静かに入るカッレのサポートも素晴らしい。カッレ・ラスムッセンは、Swedenで活躍中の若いドラマー。


09_9_16-2

幾重にも重なる雲と秋の田の色 
     ふたつの季節が切り取ってそこに置いてある風景。



ーーー唐突ですがライブのお知らせですーーー

私のではなく、友人Kが主催するライブです。
Kの一押し女性ジャズシンガー Tsugume. (つぐめ)が大阪から関東にやってきます。Tsugume.は2008年夏に森田葉月の名からTsugume.(つぐめ)に名を変えフリ−シンガーとしてスタートしました。
ジャズのスタンダードをソウルフルに歌いこなし、大人のしっとりとしたステージで魅了します。
上の文章で紹介した「Someone To Watch Over Me」も歌う予定です。どんな歌い方で聴かせてくれるのでしょう、とても楽しみです。
普段は関西地方を中心に活動しているので、関東にお住まいの方は彼女の歌を生で聴けるいい機会になると思います。バックのミュージシャンも関西から来る素晴らしいメンバーです。
この「海の見えるホール」もとても素敵なホールです。
ステージの向こうに広がる緑の森と海、このホールで聴くお昼間のジャズはなかなか素敵です。このホールのある聖ステパノ学園はエリザベスサンダーホームとして有名な学園です。山の緑もきれいな珍しいホールです。休日の一日、もしお時間のある方は大磯までのジャズの旅、いかがでしょうか。

ーーーーJAZZ COLLE (Vol 3) Tsugume.ライブーーーー

日時 2009年 9月20日(日) 13時30分スタート(12時50分開場)
場所 大磯 海の見えるホール(JR大磯駅すぐ前 聖ステパノ学園内)
チケット料金 前売り4000円 (当日4500円)
問い合わせ先 和伊 0463−61−2906

出演 Tsugume.(Vo)
   横山貴生(Sax)
   井手 厚(Bass)
   石川武司(Pf)
   高野正明(Ds)


09_9_16-3

雨にぬれる秋の庭のアジサイ 
    薄い緑色と濃いバラ色が一つのパレットに混じり合っています。

 

「忘竿翁日記 その二」第12回

 セーファ御嶽(うたき)へ。
 年内に「大江戸恐龍伝」で書く、あやしい祭りの取材です。ガイドさんに案内していただきました。

忘竿2-13

忘竿2-13-2

「酔魚亭」の新デザイン

 ご覧のように夢枕獏公式ブログ「酔魚亭」のデザインを一新しました。
 

 夢枕獏事務所

「忘竿翁日記 その二」第11回

 基本的には、「大江戸恐龍伝」の取材です。ですから、海水の温度を実感するために足だけ海に入りました。思ったより冷たい。

忘竿2-11-1

忘竿2-11-2

「忘竿翁日記 その二」第10回

 沖縄の東、知念へ。
 海が美しい。子供が長いアミで魚をすくってました。

忘竿2-10-1

忘竿2-10-2

忘竿2-10-3

闇狩り師 崑崙の王〈新装版〉

書名 『闇狩り師 崑崙の王〈新装版〉』
著者 夢枕獏

崑崙の王 新装版


女を守るため乱造が疾駆する闇狩り師シリーズ最長の重厚作。
久我沼家に憑いた犬神の正体とは?
キマイラ・シリーズの龍王院弘も参戦!



目次

崑崙の王 龍の紋章

序章 禍犬
一章 龍の紋章
二章 犬神使い
三章 巫蟲師
四章 暗黒夢
五章 闇の外法
六章 妖華
七章 贅師

蒼獣鬼 龍の咆哮

一章 呪禁
二章 鬼犬
三章 黒武士
四章 闇の顔
五章 外術
六章 変化
七章 鬼涙
八章 雪夜
九章 夢翁
終章

イラスト=寺田克也
デザイン=宮村和相(5GAS)
発行所=徳間書店

奥付発行日=2009年9月30日
定価=本体1200円+税
ISBN978-4-19-850841-8

本書は『崑崙の王 上〈龍の紋章〉』(徳間文庫、一九九一年七月刊)と『崑崙の王 下〈龍の咆哮〉』(徳間文庫、一九九一年八月刊)を合本にした、新装版です。

プロフィール

夢枕 獏

作家、1951年1月1日、神奈川県生まれ。 東海大学文学部日本文学科卒。
1977年に作家デビュー。 以後、『キマイラ』『サイコダイバー』『闇狩り師』『餓狼伝』『大帝の剣』『陰陽師』などのシリーズ作品を発表。 1989年『上弦の月を喰べる獅子』で日本SF大賞、1998年『神々の山嶺』で柴田錬三郎賞を受賞。2011年『大江戸釣客伝』で泉鏡花文学賞と舟橋聖一文学賞を受賞。同作で2012年に吉川英治文学賞を受賞。
漫画化された作品では、『陰陽師』(漫画 岡野玲子)が第5回手塚治虫文化賞、『神々の山嶺』(漫画 谷口ジロー)が2001年文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞をそれぞれ受賞。 映画化された作品に『陰陽師』『陰陽師2』(東宝)、『大帝の剣』(東映)などがある。

NEW 新着書き込み
日記アーカイブ
記事検索
モバイル版ブログ
QRコード
過去BBSアーカイブ
kukai

02

夢枕獏公式サイト
蓬莱宮
陰陽師
onmyoji

大江戸恐龍伝
ooedobanner
コミック「大江戸恐龍伝」
大江戸恐龍伝
Slow Boat to Cloud
CloudBlog_banner_120-30
夢枕獏が応援するJAZZレーベルのオフィシャルブログ
























陰陽師 水龍ノ巻
夢枕 獏
文藝春秋
2021-08-04











JAGAE 織田信長伝奇行
夢枕獏
祥伝社
2021-06-10











怪談えほん おめん (怪談えほん 14)
夢枕 獏
岩崎書店
2021-05-19







白鯨 MOBY-DICK