これは、10月5日にCloudからリリースしたピーター・ローゼンダールのアルバム「クレセント」の中に入っている曲の名前。
デンマークの作曲家カール・ニールセンの曲です。
ピーター・ローゼンダールは、どちらかと言えばジャズというよりクラッシックの色づけをしてこの曲を3分あまりのドラマチックな小品に仕上げています。

「重く暗い夜の雲」は「tunge mørke natteskyer」がデンマーク語の原題。
私たちがクリアだと思っている北欧デンマークの空気ですが、冬、特に11月は重い雲のたれ込める日の多い、一年中で一番淋しい時季なのだそうです。
この時季のデンマークは、まさしくデンマークの画家ハンマースホイの世界。
白と黒とグレーのシンプルな、空気だけがはりつめる世界。
この月はイベントも少なく、心も落ち着いて冬へと向かう支度を始める。
私はなぜかこの月が好きです。

2011_11.17-1

   ボストンの教会で 


北米ボストンへ行ってきました。
来年に出す予定のアルバムレコーディングです。
「どうしてこの忙しい11月に行くのだろうか、私」と自問自答をしながら、気づいたら飛行機に乗っていました〜、という感じです。
10月から11月は予定が山のようにあり、日本を留守にするのに申し訳なく忍びない月でした。
でもミュージシャンは一生懸命にこのレコーディングのために日程を都合して頑張ってくれたので、それならばいかねばならんだろうと責任感で飛行機にいつのまにか乗っていたというわけです。本当は私が行かなくても優秀なミュージシャンとエンジニアはちゃんと仕事をやってくれるのですが。
経費削減で無料航空券と一番の格安チケットで行ったので、乗り継ぎ等でボストンまで24時間もかけて・・。ふー。
AAの機内で出されたコーヒーのまずかったことだけが変に印象的な長い移動でした。


レコーディングはデンマークでだけだと決めていた私がなぜまたボストンへ・・。
デンマークのコインはハートマークだし、デニッシュ好きだし・・。(関係ないか)
デンマークで録る音が私は一番だと思っています。
ですが、一方「ボストン」という土地にとても興味があり、ここで音を録ってみたいと思い始めたら、いてもたってもいられなくなりました。
ボストンはアメリカの東海岸にある古い街で、アメリカの中でもどことなく英国の香りのする街です。ハーバードがあり、マサチューセッツ工科大学があり、ボストン美術館があり、ボストン交響楽団のある街。
そう思い始めていた私に、まわりの(ミュージシャンです)「ボストンは素晴らしい」攻撃。
「そーか、バークリーもあるしなあ」と、いつのまにかボストンで録音をということになっていました。
ミュージシャンに上手い具合に、単純な私は嵌められてしまったわけです。
もちろん「喜んで」です。

2011_11.17-2

  ボストンの街中、スタバの前のFREEPAPERスタンド 

ボストンは水と海の香りのする、空気のきれいな古い街でした。
昔、英国からメイフラワー号が上陸したのはすぐ近くの町。港から外にでればその水はヨーロッパへとつながっています。
日本からすると北米とヨーロッパは正反対にある場所ですが、二つの文化は海でつながっています。
クラッシックも盛んなこのボストンで、北欧とジャズの聖地アメリカの混じり合ったようなボストンならではのジャズが録れました。ボストンのスタジオもどちらかと言えばクラッシック録音用のスタジオ。NHKにあたるようなテレビ局の中にある素晴らしいスタジオでした。
今回の編成は、アメリカ人とペルー人と日本人という3つの文化からなる不思議なピアノトリオ。
そして、これを日本でアルバムに仕立てるとまたまた不思議な作品に。。。
多分、なっていくでしょう。
リリースは来年ですが、これもCloud的独自詩情秀逸作品になるのは間違いありませんです。はい。


12月には新譜People Are Machinesの『FRACTAL』が出ます。寺田克也さんのジャケット!
これは、まさしく北欧最前線の音。ロックのような力を持つ、若い、くらくらするような硬派ジャズです。
ジャズ雑誌各誌に素晴らしいレビュー掲載されています。


最後に。
デンマーク在住のピアニストの平林牧子さんから教えていただきましたが、
「重く低い夜の雲」は死を目前にした時の曲なのだそうです。
美しい曲です。
デンマークのスタジオ録音のピーター・ローゼンダールのピアノで聴いてみてください。
名手マッズ・ビンディングの弦の音が最後を締める最高のトリオ、最高のエンジニア、最高の音で録れていると思います。
アルバム「クレセント」(三日月という意味)
山野楽器銀座本店、タワーレコード、ディスクユニオン、Amazonでも発売中です。

2011_11.17-3

      ボストンを飛立ったのは朝の6時発の飛行機。
      夜中の2時起きで空港へ。
      東の空に満月が、と思ったら、
      それは西の空に沈もうとする不思議な月でした。