2011_02-04-1

 世界中で一番幸福にさせる花束!

2010年にECMからリリースされた、キース・ジャレットとチャーリー・ヘイデンのデュオ『Jasmine』
シンプルなジャケットはまるで詩集のようなたたずまい。旅先のコペンハーゲンで即購入、大切に日本に持ち帰った一枚でした。

『Jasmine』という素敵な名前に込められたメッセージ。
部屋の片隅でピアノとベースが静かに語り合うかのような演奏。
Call your wife or husband or lover in late at night and sit down and listen.
と、ライナーに書かれた言葉も泣かせます。
キース・ジャレットとチャーリー・ヘイデンの30年ぶりという再会のストーリーに誰もがうなずかざるをえないかのような内容。名盤として泣かせるすべては揃っていました。

のはずでしたが・・・
私には何か腑に落ちない一枚だったのです。
どうしてこのアルバムの選曲に3年もかかってしまったのか。キースはこのアルバムでいったい何を語りたかったのか。聴けば聴くほどわからなくなる。
キースの静かなピアノを聴けるアルバムなら『The Melody at Night With You』のアルバムの方が私には素晴らしく、『Jasmine』には腑に落ちない何かがずっとつきまとっていました。


2011_02-04-2

 ビオラダガンバという名のお香。グリーングレイの色をしたお香。


その私に突然飛び込んで来た堀江敏幸氏の『Jasmine』を語る言葉。
『Jasmine』には「無意識の言い落とし」がある。
「なにかひとつだけ自由にならない音が、使ってはならない音があるような気がしてくるのだ」と言うのです。
その謎掛けのような言葉をたずさえ、私はこの『Jasmine』の深層へともう一度潜ることになってしまいました。
音楽の批評では「内省的」と表現される言葉がありますが、この言葉の罠に嵌るよりも深く深く堀江氏の言葉は私を別世界へと連れ込んでしまいました。
その時から「無意識の言い落とし」の「音」を探して『Jasmine』を聴いています。
月のない夜に月を求めて月の影を探すようなことかもしれません。
もっとシンプルに聴けばいいんだよという人もいますが、やはりそれだけではつまらない。

不可解なジャズを不可解な言葉で語り不可解な罠にはまる。
音楽を聴く喜びの一つです。
言葉は楽しい。

2011_02-04-3

 トルコで見つけてきた古い美しい刺繍。カフタンの袖の部分だとか。