音楽というものは楽譜という氷の塊の中に閉じこめられた生き物で、演奏家たちは、彼らの心の熱でもってその氷をとかし、音の世界を解放し、とり出してくる仕事に一生をかける人種なのだ。
音楽展望より 吉田秀和氏

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( 大室さんのガラス 
      ハートの中に込められた青い花たち   )


楽譜を氷、演奏家の心がその氷をとかすーー
そういって、わかりやすく表現された吉田氏。
では、ジャズではどうなのでしょう。
吉田氏の表現をお借りして私はこのように考えてみました。

アルバムという氷の中に閉じこめられたジャズという生き物。私たちは、こころの熱でもってその氷をとかし、感覚を解放し、とり出してくるそのことにすべてをかけるアマチュアなのだ。

ジャズはもちろんライブが一番。ですが、もちろん私はアルバムもよく聴きます。
アルバムはデザインされこの世の中に送り出されたもの。
だから、作り手の感覚が手触りできる。
二次元、三次元と感覚を紐解いていく作業をひとり心から楽しむことができる。
私はいつも深夜のひとりジャズバーで、この密やかな作業をニタニタと、ひとり悦に入ってます。それは本当に楽しくて私には貴重な時間です。
心はプロではなくまったくアマチュアです。

11月初め、私のレーベルから新譜が出て、いろいろな方に新譜を雑誌で取り上げていただき恐れ多いばかりです。
本当に恐縮しています。
もちろんレーベルは仕事としてやっていますが、音楽を聴くということは私にはアマチュア以外の何ものではないのです。

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( 11月はもしかして一番美しい季節なのかも )


『Plastic Moon』のアルバムの売れ行きも気になる毎日。
昨日は銀座山野楽器まで行って来ました。
自分の作ったアルバムがCDショップに並ぶ姿を見るのは本当に勇気がいるもの。
発売から3週間。
まだ、平台に並べておいてありました。
とても目をひくディスプレイです。売り場の方の熱のこもったディスプレイです。
他のジャズのジャケットに混ざり、驚くくらいに美しく(これってかなり偏った見方かも)違和感なく並べられていました。始めはあのシンプルなジャケットデザインで果たしてショップの中で耐えられるのかと思いましたが。
我が息子は驚くくらい健闘していました。
ああ、こうやって店に並べられて売られていくのか。
心の底にある惑いのリボンがほどけたような感慨深い一瞬でした。

このアルバムは12月にデンマークからリリースされる予定です。
日本から輸出するとなると現在の驚異的な円高と関税。これは日本の小さなレーベルにとっては目の前の大きな障害です。そういうわけでデンマークのレーベルに販路をバトンタッチすることにしました。
ジャケットデザインも北欧風にデザインされ、クリスマスシーズンの北欧の店頭に並びます。
そして春になったらデンマークから世界に向けて輸出されることになると思います。
3人のアーティストの作った『Plastic Moon』は、世界のどこかの誰かのこころの熱で溶かされ、また新しく育っていくことでしょう。
そう願っています。

思えば、本当に恵まれた幸せなヤツです。

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( コペンハーゲンのバーで飲む焼酎 おつだね
     「日本から来た」と言ったらすぐに出してくれた
        デンマークで焼酎はあまり飲みたくなかったけど…  )