昨夜は満月。
西行の桜の望月。
桜が咲く頃の天気は変わりやすく、久しぶりに月を月として見る夜。

2010_03_31-1

 大磯の西行饅頭。西行の月がいっぱい。まん丸だーっ。


昨夜。デンマークにメールを送った私。

今、大変なことでやり取り中なのです。
私がプロデュースするジャズミュージシャンの来日ライブ。
実は、来日するベーシストの仕事がベルリンでライブ前日ぎりぎりまで入っているということが判明。
「なんだとー?それってオーバーブッキングじゃん!」と襟首つかむ訳にもいかず、「えー、それは困るなー。だってもうリハーサル予約してあるもんね」と優しく強く訴える私。

これは、海外のミュージシャンを招く人たちには当然付いてくるリスクです。
後ろに大きな組織が付いているわけでもなく資金源もない弱小の私。
とりあえず粘るしかありません。
私はこういうことで絶対に譲りたくないタイプ。
ギリギリまでしつこく交渉を続けるのみです。

でも、困ったなあ。

というわけで、昨夜遅くメールを出していたのですが、ラップトップの机の上、窓を見上げれば中空に月が。
それも朧の満月。
そうか今朝の新聞にも西行忌のこどが書いてあったなあ、と思わず液晶画面のデンマーク行きの英文を通り越して、日本の月を眺めている私がいました。

歌人西行は旧暦の2月15日に没したことになっています。
西行が逝ったのは彼の望みと同じ「その如月の望月の頃」です。それが昨日。
獏先生の書いた『宿神』の最後にもこの西行の逝く美しいシーンは出てきました。
私は朝日新聞に連載中だったこの『宿神』の最後、大好きでした。
(これって、いつ単行本として出版されるんですか?先生!もう待ちきれませんよ。絶対に来年の如月の望月までには出してくださいね)

    春風の花を散らすと見る夢は覚めても胸の騒ぐなりけり 西行

ああ、これって、デンマークのミュージシャンとのアクシデントに翻弄される、まるで今の私の心境です。

最後にデンマークに昨夜送った私のメールの最後に添えた「月」。
「FULL MOON」と英語の文字で。
そしてその月にもうひとつ「白い桜の花びら」を英語の文字で添えました。
その月は昨夜メールでデンマークに送られ、8時間後の今、メールが届いたデンマークはその満月の下。
私の想いは届くのか。
思えば不思議な、時間と想いの交錯です。


2010_03_31-2

 風景に浮かび上がるこの青ざめた桜色が好きだ。
     京都の蹴上の琵琶湖疎水の桜。