平家物語に出てくる建礼門院。
壇ノ浦の戦いで入水、そして不本意にも助けられた後、大原に籠って平家一門と安徳天皇の菩提を弔う彼女の元へ後白河法皇が訪れるシーンがあります。
有名な「大原御幸」です。
庭の若草茂りあひ、青柳糸を乱りつつ、池の萍(うきくさ)浪にただよひ、錦をさらすかとあやまたる・・・
初夏の大原の寂光院とその周辺の様子が美しい文章に綴られ、今から始まる出会いのシーンを強く強く印象づけています。
「女院はいづくへ御幸なりぬるぞ」と仰せければ「この上の山へ、花摘みにいらせ給ひてさぶらふ」
建礼門院は、後白河法皇が訪ねて行った時に、裏山へ花を摘みにでかけていて不在だったのです。彼女が摘みに行っていたのは仏に供える花ですね。しばらくして山から彼女が花籠を持って岩つつじを抱え帰ってきます。その姿をみて法皇は嘆きます。「まことにおいたわしいことだ」と。
ですが、私的にはそのシーンでぐんと彼女が私の中に近づきました。
建礼門院が近くの山で花を摘み、それを供えて菩提を弔うその姿、とても美しいと思います。
仏教用語、自然の情景、古の地名が音楽のように散りばめられ話がすすめられていく平家物語、いいです。


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11月末の庭、落ち葉に埋もれクリスマスローズが出番を待っている。


花を贈ったり、供えたりする、その文化はいつ頃からはじまったのでしょう。
宮崎駿のアニメ、天空の城ラピュタの中でもロボット兵がお墓に花を供えるシーンが出て来ます。そのシーンだけで、私には宮崎さんの想いが伝わって来ました。

花を飾るということが大好きな私。
海外に行くと、まず花屋を探して歩きます。
ホテルに滞在する時に自分の部屋に花を飾るためです。自分のために花を買うことがとても好きなのです。少しでいいのです。一輪でもいいのです。
気に入った花を買い、ホテルの部屋のコップに差すだけで、その空間が自分のための空間に変わります。


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 コペンハーゲンのテーゲアンデルセン この花屋はとてもおしゃれです。
  先日入った時はキース・ジャレットが流れていました。多分キースでした。



なぜこんな花のことを書き出したかというと、もうすぐ亡くなった母の9回忌。大好きだった母のことなのに、すぐに命日を忘れてしまう私たち(私と姉のことです)。
もう本当にアンポンタンなんだからーっと、自分たちを責めてばかりなので、命日にお花を贈ることにしました。忘れないようにあらかじめお花やさんに手配して。
その手配をしたのが今日だったので、こんな文章を書いてしまいました。

そういうことでした。
では、では。
またまたジャズで締めくくりますか。

Jens Bredsdoffのシンプルな野の花のイラストが印象的なジャケット。
Ulf Wakeniusのアルバム「FOREVER YOU」
その中に入っているForever you。
この曲はベースのLars Danielssonの曲。
pianoのCarsten DahlもdrumsのMorten Lundもこの曲の中で一緒になって一つの歌を静かに歌い上げています。それはもしかして誰かに捧げる歌かもしれません。
コペンハーゲンに向う飛行機の中で私のヘッドホンから思いがけずこの曲が流れて来た時に、驚きました。素晴らしくきれいな情景が浮かんできて・・・

シンプルな野の花のイラストのジャケット、プロデュースをしたのは、あの「孤ペン波舷氏」なのでしたっ。


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 これがそのジャケットとCDです。この感じなんだかいいでしょう?